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92 元通り2
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腹の辺りに重みを感じ目を開けると、快がしっかり俺のお腹に頭を乗せて寝ていた
スヤスヤ眠るその姿はどこか切なそうで、思い病んでるような趣だ
一体どんな夢を見て何を考えているのだろう
快は今幸せだろうか
美形で髪質は良くて、全てのパーツが素晴らし人を見ながらこう過ごすのも悪くない
見ていて飽きないし
何より、好き過ぎてそっとブラウン色の髪を撫でた
「ん、どうしたの?」
「あ、いや別に」
寝ていた快は目を覚して欠伸をした
「俺、ご飯食べてくるけど快もリビングいく?」
お腹がすいていたため、ベッドから降りると快が慌てて俺を簡単にお姫様抱っこをする
「おい!下ろせよ!」
「ダメだよ!まだ部屋で休んでないと。俺がご飯持ってくるから」
そんなお節介は要らないのに...俺歩けるし
バタバタ騒ぐとまたベッドの上にいる
監禁されたばかりのころとこの傷を比べたらまだ、軽い方だろう
今更やさしくされてもね...
再びベッドから降りて快の手を引いてリビングに向かった
「ほら、ちゃんと歩けるだろ」
「う、ん。でも無理して動いたら傷が開くよ」
快がその後も何か言っていたが全部無視して冷蔵庫を開けた
すると、付箋の貼ってある皿が目に入った
田中さんからだ
“サンドイッチです”
と、一言だけ書いてある
見ればそんなの分かるのに...やっぱりどこか田中さんは抜けてるんだよな
でも俺が右手を使えない事を知って、左手で食べれるもの用意してくれたに違いないだろう
ラップをはずして、食べる準備をしていると後ろから快が抱きしめてきた
「邪魔だっつーの」
「やっぱりここで食べるのやめよう」
悲しそうな声で俺にそう言った
別にリビングで食べれば良いのに何故そんなに強ばっているんだ?
キッチンからリビングを見ると、一昨日の俺の血がフローリングの上に敷いてあった絨毯に染みが残っていた
きっと田中さんが後片付けをしてくれたんだろうけれど、染み付いた血までは無理のようだった
何だか申し訳ない気持ちになる
「じゃ、部屋でたべようか」
「わがまま言ってごめん」
「謝んなよ」
こんな弱い快を目の前にしてどう喋ればいいのか迷ってしまう
俺も弱っていきそう...
部屋に着いて、2人でテーブルを囲みサンドイッチを食べる
「田中さん、また実家に帰ったの?」
「あぁ、そう。田中も忙しい見たいで。なのにこんなものまで作ってくれてさ~お節介野郎だね」
いや、お節介はお前だよ
田中さんも快もお互い似た者同士なのか
「あのさ、記憶がないって言ってたじゃん」
「うん」
「リビングの血は俺が自分で刺したから血がめっちゃでた。ただそれだけの事だから安心しろよ」
記憶がないなら、作ればいい
嘘なんてついてない
快は確かに俺を刺したけど、俺が深く刺したから大量出血しただけだ
そういう事にしとけば、落ち込まないでいつもの快に戻るかな
「え?だって俺は蘭夢に包丁で刺してたんだよ?」
「ちげーよ、俺が刺してその上に快が手を添えてくれたんだ」
「でもなんで蘭夢は自分を刺すんだよ」
あーなんでこんなに質問攻めをしてくるんだ
「えっとー何となく?」
「はい、嘘だね」
「いや!嘘じゃねぇって!」
やっぱり記憶なんて作れるわけないんだ
馬鹿だな俺
「俺の事、心配してくれてるの分かるよ。でも蘭夢の方が辛いよね」
またその顔
今にも泣きそうなその面はいつになっても慣れない
「俺が辛いのは傷の痛みより、快がそんな顔してる方が余っ程、辛いけど」
もう終わったことなんだから、こんなこと終わりにしたい所だが快は立ち直れないみたいだ
「ごめ...あ、そうだよね。俺ちゃんと話すよ。酔う前の事を」
「別に無理して話すことないだろ。俺が尋問してるみたいじゃん」
「今じゃなきゃ言えない」
真剣な目をして快は俺を見てるが、さっきのサンドイッチのソースが口の端についていてそろそろ笑いがこみ上げてきそう
「ぷっ...それじゃぁ...ぷぷっ、、ごめ、ぷっ」
「いや、笑いすぎでしょ」
間抜けな姿は相変わらず笑いになる
ソースが付いている場所を教えると舌でぺろりと舐めとった
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