アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
68
-
ザーーーーーー
睫毛に付いた水滴で、視界が滲む
雨音だけが響く、閑静な住宅街へと入っていった。
そこから、さらに5分、10分、15分歩くけど、僕らの目的地に着く気配はしない
僕は最初廣川くんの家に連れて行かれるのだと思っていたが、むしろ、住宅街を抜けているように感じる。
僕の脚は段々疲れてきたけど、廣川くんのペースはいっこうに落ちず、上がってきた息はすべて雨の音に飲み込まれてしまった。
でも、冷たい水滴を温める僕らの繋がれた手を見ていたら、いっそこのまま寿命が尽きてもいいやと思った
僕らは大きな公園のような場所に入っていった。
開けていて、僕らの他には木とベンチがあるだけだ。
「…」
廣川くんが、ふと立ち止まって僕を見た
雨で視界が歪んでいるからなのか
ただ廣川くんのことが好きだからなのか、分からないけど、彼の眼は綺麗に光っていた
もう、ここが雨に濡れた公園だろうとどうでもよかった。
すき。
多分、廣川くんには届かなかったけど。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
68 / 77