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今日のご飯は先週、俺が期待したオムライス。すっごい卵ふわふわでとろとろ。やっぱりイタリアンが似合わない顔のに、狐塚さんにはイタリアンが一番合ってる。顔だけなら絶対俺のほうがイタリアンに愛されてるよ。
「何でこんなに繊細そうなオムライスを作れるんでしょうねぇ。作ってる人は繊細という文字のどの部分にも当てはまらないような人なのに~」
「出たな今日も凪の失礼発言。もうオムライスは作らねーことにすっか」
「やだやだやだごめんなさ~い!冗談ですよ~!」
「ふっ…必死だな。それこそ冗談だ」
「うわ~年下をからかう悪い大人だ~」
「だって苛めたくなる顔してんだもんお前」
苛めたい人間は俺だけじゃないでしょう。ってかいい26歳にもなって苛めたいって、俺様だけじゃなくてS属性もあったのかこの人。やだやだ、俺と真逆でやだやだ。
最初から最後まで美味しさ抜群のオムライスを平らげて、俺は食器を流しに持っていく。そのままでいいと言われたが、さすがにご馳走になったのに洗い物もしないなんて、狐塚さん曰く、お坊ちゃまの俺のプライドが許さない。
「皿洗いなんてしたことあんのかお坊ちゃま」
「それくらいありますよ~!馬鹿にしないでくださ~い」
「まぁでも確かにフルーツのカットとか、お坊ちゃまにしては器用だもんな。英才教育とやらか、くそガキ」
「も~僻まないでくださ~い!」
「英才教育は否定しねーんだなちきしょう」
「あははっ~」
知るかそんなこと。心の中で悪態をつきながらも狐塚さんとのやり取りが楽しく感じている自分。大して多くない洗い物をしている俺の横で、狐塚さんは何をするわけでもなく俺の手元を覗き込んでいた。
かすかに狐塚さんの腕が俺の肩に当たっていて、らしくもなく心臓が早まる。それは俺が求めていた幻想。少しだけ、絶対に叶うことのない夢が叶ってる気分になった。
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