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沈黙が流れる。それまで気にならなかった蝉の鳴き声がはっきりと耳に入ってきた。しばらくそうしてお互い無言で星空を見上げていたら、剛平さんの方から口を開いてくれた。
「…親は、大丈夫なのか」
「あーそういえば…今って何時ですかね?」
「もう22時を回ってる」
「うわ…やばいかも!」
腕時計をちらっと見て剛平さんが教えてくれた時間は思ってたより過ぎていて、慌ててブランコから降りて立ち上がる。
「こんな遅くまで帰らなかったこと、ないから…警察とかに連絡してる可能性もあるかもです…」
「……随分、親に愛されてるな」
「いやいや、過保護なだけですよ。でも今日はそろそろ帰りますね。喧嘩して出てきたし…きちんと謝らなきゃ」
「あぁ、そうするといい」
「剛平さんは…明日もここに、来ますか?」
自分でも自然とそんな質問が口から出た。ここでさよならをしたらもう会えないのかなと考えると、少し寂しい気がして。
「…君が来るなら、俺も来よう」
「本当ですか!?約束ですよっ。それじゃ、また明日!おやすみなさい!」
ペコリと頭を下げて大きく手を振りながら公園を後にする。うふふ、と家に駆け足で向かいながら零れた笑みの理由が自分でも分からなくて、首を傾げた。
家に帰ると涙目のお母さんとお父さんが僕を出迎えて、散々怒られた。初めて声を荒げてお父さんに怒られた僕は、いかにお母さんを心配させてしまったか分かって反省する。
初めての経験をたくさんして、いろんな感情が混ざり合って本当は泣きたかったけれど、剛平さんと一緒に見た星空を思い出すと不思議と心が穏やかになれた。
明日も会えるんだと思うと、今日のプチ反抗家出をしてよかった。怒られて反省したはずの僕は、全然反省していなかったらしい。明日も絶対に家を抜け出そうと考えているんだから。
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