アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
-17-
-
少しでも剛平さんとの距離を縮めるきっかけがほしい。僕は男で、もちろん剛平さんも男で普通なら男同士で恋愛に発展はしない。
けれど、剛平さんは僕の気持ちが恋愛感情だと知ってて尚、拒絶しないということは少なからず嫌がられてはいないということだ。嫌がられていないなら、少しでも望みがあるなら、僕にもチャンスがほしい。
「こんなこと、我儘だって分かっているんですけど…でも、お願いします!」
「……ご褒美の内容にもよる」
「それは…僕と、1日だけデートしてほしいです!あ、もちろん試験で400点以上取れたら!」
ずっと考えていたことだ。剛平さんとは夜に、この公園でしが会ったことがない。医学部の勉強が忙しいことは重々分かっているけど、1日くらい息抜きに僕とデートしてくれてもいいじゃないかな。
無口で何を考えているか分からない表情だけど、星が大好きで勉強熱心で優しい剛平さんなら、僕のお願いを聞いてくれると思っていた。
「すまないが…デートは出来ない」
しかし、返された言葉は剛平さんからの初めての拒否。口を動かして話しているが、顔の残りの部分は動かない。まるで腹話術で使う人形みたいな表情で拒否の言葉を言われると、結構なダメージがあった。
咄嗟に視線を地面に落として顔を俯かせて隠す。全身を引き締めていないと、少しでも緩めた瞬間に涙が溢れそうだった。
「……」
「……そう、ですよね…すみません」
「満輝」
「えっ」
さっき俯かせたばかりの顔を反射的に上げてしまう。全く落ち着き払った顔の剛平さんが、変わらず目の前にいた。
今、満輝って言った?剛平さんが…僕の名前を呼んでくれた。初めて、呼んでもらえた。
「今、満輝って…」
「ん?だってお前は、満輝だろう」
「そう、ですけど!初めて!初めてですよ!剛平さんが僕の名前を呼んでくれたのっ」
「…そうだったか?」
「そうだったかって…」
無表情のまま、珍しく首を傾げて頭にハテナマークを付けている大学医学部4年生。反則だよそんなの!すっごい胸がキュンキュンしちゃうじゃん!
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
78 / 138