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第11話
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革命勃発から5日目。
「或る人」やその周りの貴族達が立てこもるお城の中は地獄絵図でした。食堂やキッチンにあった料理は我先に、と奪いあわれました。それもなくなると、今度は他人の得た料理を奪いあいました。廊下に飾ってある騎士の鎧や剣を使って互いに殺しあうほどでした。しかし冷蔵庫もないため、5日も経って料理もほとんど腐ってしまいました。それでも飢えを満たすため、貴族達は醜く奪いあいました。
市民はお城の目の前で毎日バーベキューを楽しみました。お城にあった莫大な食料は今や自分達の物、市民は毎日様々な料理を楽しみました。
お城の貴族達はその匂いでますます気が狂いました。中には叫びながら門にかじりつく者や庭園の草や肥料を食べる者もいました。
そこにはいつまでも凛と貴族らしく座す者はいませんでした。
「或る人」はどうなったのでしょう。
「或る人」は自分の部屋にこもり、扉を堅く打ち付け2度と開かないようにしていました。
貴族達は始め、まだ正気だった頃、「或る人」を市民に差し出して革命をおさめようと思いました。しかし、もし「或る人」が市民達に自分達貴族のしたことだとバラしたら自分達が殺されてしまうとも思いました。そこでとりあえず、「或る人」を捕まえて地下牢に入れておこう、と考え「或る人」を連行しようとしたのです。そして、抵抗した「或る人」は自分の部屋にこもったのです。3日目になり、なんとかして貴族達は扉を開けました。
しかし、その部屋にもう「或る人」はいませんでした。
その部屋は元々王様の部屋でした。置いてある本も机も全て王様の物でした。立てこもり、どうしようか悩んだ「或る人」は何か無いかと部屋中をひっくり返しました。すると、机の引き出しに古い山羊革の手帳が1冊ありました。その手帳には秘密の隠し通路について書いてありました。
扉から右に数えて5枚目の絵画の裏の金庫にある鍵をとり、さらに右に数えて2枚目の絵画の後ろにある扉を開けてその先の薄暗い階段を1番下まで降りて突き当たりを右に曲がれば出口だと書いてありました。「或る人」は手帳の通り進んでいきました。
するとそこはかつて、まだ「或る人」が服職人だった頃に働いていた町工場の裏口の目の前でした。
「或る人」は王様と友人だった頃を思い出しました。またそれと同時に王様が真に自分のことを愛してくれていたことを身を以て知ったのです。わざわざ隠し通路を作るほどに。
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