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本意
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「おい!」
急にドアノブの紐が頭に落ちて、背中がドアに押されていく。
意識が朦朧としている為、何が起きているのかはさっぱり分からない。
「う、はぁ、はぁ、」
「やっぱり」
段々焦点が合うようになってきて、誰が今話しているのか何となく見えてきた。でも、これは現実ではないと願った。
「はぁ、はぁ、自殺したの?」
嘲笑うように言うその声。息を切らしているが、どっからどう聞いても憎たらしいあの声にしか聞こえない。
すかさず横にあったカッターを握りしめ、首元に刃物を当てた。少し痛かった。
「えっ、ちょ、待てって」
段々血が垂れてきて鉄の匂いが鼻を差した。痛みとかどうでもよかった。今回こそは確実に死ねると思った。
「たちかわ…さん、、ほんと、も、、むり」
でももう力が入らず奥まで刺せなかった。喉からも血の匂いがする。口中は鉄の味。
どうやら血を吐いてしまったようだ。
「おい!な、なんでこんなに」
「殺、して、死んで欲し、いなら殺して。持ってる、でしょ、強い、拳と鉄バッ、トを。殺して、殺して」
「な、何なんだよ気持ち悪りぃ」
「殺し、てってば。力入ん、ない。深くに、刺せない」
「もう刺さなくていいから!!!俺はお前を殺さないから!!」
「は、ころして…」
「なんで…」
「なんでって、俺はお前が…」
パタリとその場に倒れてしまった。
もう何もできない。
呼吸も止まりそうなくらい心臓がドキドキしていた。
そこからの意識はもうなかった。
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