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霹靂
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合コンが始まった。
「俺は早見駆!桜庭大の経営学部!よろしくな」
女子たちは駆を向いて
「よろしくね」なんて声を掛けている。
「じゃあ俺の次は…葦原な!」
「えっ!?あ、葦原千明です…桜庭大の心理学部です!」
えへへと笑いながら拍手を受けて座ったとき。
「はあ?!?!?!?!?!」
挨拶し終わったと思って気を抜いた。
横の方で大きな声が聞こえてきた。
もう、二度と聞くことのない声だと思っていた。
「は、葦原…?」
「立川…さん…」
店の中が10秒くらい静かになった。
もう思考が停止した。
目の前にはあの立川がいた。
「な、なんだよ!!お前ら知り合いかよ」
「知り合いなんかじゃない!
けど帰るわ!ごめん!!」
もう店を飛び出るしかなかった。カバンと上着を取り、すぐに店から出て改札に向かった。
「うわぁ!」
思い切り腕をつかまれて、
よろけて座り込んでしまった。
「葦原…」
手を振りほどき、グラグラと足を震わせて壁に寄りかかった。
「来ないで!!なんでこんなとこに」
「俺も人数合わせで来ただけだ!!」
「もうむり…いいよここで、殺して」
「だから殺さねえって言ってんだろうがよ!!!」
思いっきり立川の右手が上がり、俺の方に来た。
目をつぶって肩を縮こませ、もう死んでもいいと思った。
殺してほしい。
「ずっと葦原に謝りたかった」
俺は知らぬ間に立川の胸の中にいた。
優しい匂いがした。
「え、は」
「だから、その」
「何言ってるか分からない。ここじゃ話したくない。どっか」
「歩いて数分の俺の家は」
「何されるか分からない。
殺すまで何してくるか分からない」
「俺はそんなことしない!」
「嘘だ、もう僕の家でいいよ。
電車の方が近いけど、歩いて行ける距離だから」
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