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創消世界 5
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「イヤだ…!やだッ、消えないで…!」
僕は男に縋り付いて泣いた。
もう誰も失いたくない。
「大丈夫。私はここにいるよ。」
何度瞬きをしても、目を凝らして見てみても、
男は消えなかった。
ずっと少年を抱きしめて「大丈夫」と、少年に囁き続けた。
やがて少年は落ち着き、顔を上げて改めて男の目を見た。
少し長い黒髪は耳にかけられていて、少年は心臓がドキドキとする不思議な感覚を覚えた。
ふたりは、吸い寄せられるように唇を合わせた。
互いの唇を味わうように、唇に舌を這わせ唾液を啜う。
一瞬のようで、永遠に感じるこの瞬間、瞬間。
少年は、はじめて人の温もりを知った。
抱きしめたその腕やからだから伝わる体温や、
人の鼓動や呼吸がどのようなものなのかを確かめるように、その男の唇を味わった。
唇は離れた。
少年は男に尋ねた。
「あなたはなぜ消えないの?」
「私は、この時空の人間ではないんだ。」
この時空の人間ではない。
それはつまり、この宇宙に、空間に、過去、現在、未来において存在しない。
つまり存在そのものを否定することになる。
「君が望むなら、私は消えるよ」
「…嫌、嫌だ…ッ!!もういなくならないで、お願い!」
僕が望めば、この男は消える…
「この世界を終わりにすることも出来る。」
この世界を…消す?
少年は男から離れ、ハハハッと笑い出した
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