アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
.
-
「うわ…混んでるね」
ホームに着くとほとんどの人がサラリーマンで溢れかえっていた
隣の善さんは一瞬だけ溜息を吐いたかと思えば直ぐに穏やかな顔に戻る
「爽太君、押しつぶされないようにね」
何を言うかと思えば冗談を言われて拍子抜けする
先ほどの溜息は無かったかのように笑っていて、というかそんな感情はもともと無かったように
「何言ってるんですか、善さんの方こそ気を付けてくださいね」
「あはは、俺は大丈夫だよ」
何が俺は大丈夫だよ、なのだろうか
身長は決して小さい訳でもないがこんな華奢な体が満員電車に混ざり込むと思うと心配で仕方がない
「なるべく真ん中の方に行きましょう」
ドアの方は無理やり入ろうと詰め寄る人が多く、密着度も上がる
中の方はつり革に一人一つという感じである程度は窮屈さも軽減される
「う、わ…っ」
ドアが開き、人混みに善さんが押されて流されてしまいそうになるのを細い腕を掴んで阻止する
離れないように掴んだまま真ん中の方へなんとか乗車することが出来た
「大丈夫ですか?」
「う、ん……びっくりしたぁ」
本当に驚いたようにそう言うもんだからついつい笑ってしまう
いつも冷静でさっきも表情を隠していた人が、素直に感情を表すのを見ると嬉しい
「あはは、俺の方が押しつぶされちゃった」
その事に対して驚きはしたものの、然程気にしてないようにまた笑った
それに対して俺もそうですね、と軽く笑う
「あ、ねぇ、今日のバイトどうだ………っ」
会話が途中で切れた善さんを不思議に思い様子を見ようとするものの顔が下に向けられていて分からない
「善さん?どうしました?」
「ごめん、何でもない。
バイトどうだったかなーと思って」
そういう善さんはいつも通り穏やかで、落ち着いているように見えるのに
何故がいつもと違う雰囲気がした
「いや…オーナーと善さんがサポートしてくれたので大丈夫でした」
「そっか、良かった……っ、」
善さんは一度しか俺の事を見ずに、ずっと下を向いたままだ
よく見て見るとこめかみには汗が一筋伝っていて心なしか肌が青白い気がする
「善さん…具合悪いんじゃ…っ」
「いい、大丈夫だから。」
そう言って掴まれた手は少し震えていて、自分でも眉間にシワが寄ったのが分かった
そして、もう一つ分かったことがあった
「おっさん、何やってんの」
善さんの後ろにいた中年のサラリーマンの手が善さんのズボンに手をかけていて、もう片方の手で秘部を触れていた
「いい、大丈夫…騒ぎになりたく、ないから。
俺は全然大丈夫だよ」
そう言った善さんはこの場には似合わない、穏やかな笑顔を俺に向けた
そんな笑顔が向けられている刺激に対して苦しんでいるだけで、されている行為はどうって事ないと言っているようで
胸がキリキリと痛い
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
13 / 138