アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
.
-
外が暗くなってきたけれど、善さんは一向に目を覚まさない
寝ている間にこっそり熱を測ると少しは下がっていたので、一安心する
そして、苦しげに寄っていた眉間のシワも消え穏やかな寝顔を見せる
その姿は大人びているのとは真逆に、幼さを感じさせる寝顔に思わず笑みが溢れた
「……ふっ、かわいー」
頬を突いてみると嫌がるように口を軽く突き出して、その様子にまた胸が温かくなる
こんなに無防備な善さんを見るのは初めてで、つい嬉しくなってちょっかいを出してしまう
「……ん、?」
流石にしつこかったか善さんが目を覚ましてしまう
目を開ければ先ほどの幼さは何処へやら、凄まじい色気を発して俺を見つめる
「すみません…起こしちゃいましたね」
「んー……?…ふっ、本当に手繋いだままだぁ」
寝起きだからか、普段よりものんびりとした口調で柔らかい雰囲気を包んでいる
そして、気を少しは許してくれたのか素直な善さんの反応に嬉しくなる
「あれ、今って何時…っ、ごめん…!もう外暗くなってる…起こしてくれれば……わっ」
「ちょっ、と…大丈夫ですか?」
焦っていきなり体を起こしたせいだろう
目眩を起こして前のめりに倒れそうになるのを支える
この人が焦ったりするのは珍しい、と思っていると支えた腕を善さんはぎゅ、と抱き込んだ
それがまるでぬいぐるみなんかを抱く時みたいな格好だから、可愛くて笑ってしまう
「ふは…っ、可愛い」
そう笑うと少し不服そうに眉を寄せて、今度はその腕にキスを落とされる
そうされてしまえば先ほどの余裕は皆無で途端心臓が暴れ出す
「これは?」
大人の余裕、と言うのだろうか
一つしか変わらないのに、憂いを帯びた大人な表情にクラクラと目眩がする
「…誘ってるんですか」
「あはは、…そうだったらどうする?」
こっちがセーブしてるのに、こうして揺さぶってくる善さんに困ってしまう
けれど今は具合が良くなったとはいえ万全ではないから、細切れの理性をなんとか保つ
「そうだとしても、今は気付かないでおきます。
…うん、やっぱりまだ熱いですよ。
具合が良くなってまた善さんから求めてくれるなら、その時は遠慮しません」
「…そんなに大切にされると、どうしていいのか分からなくなる。」
切なそうに笑う善さんに、こちらまで胸が痛む
大切にされるとって言うけどそうさせているのは善さんだ。
「そんなの素直に受け取ってくれれば良いんですよ。善さんが、愛された事が無いって言えないくらい、俺がたくさん愛しますから」
もう、あんな風に悲しく笑う善さんなんて見たくない
何が正解で、何が一番いい方法なのか分からないけれど俺が出来ることなんてこれ位しか思い浮かばなかった
「…っ、俺を泣かしたいの」
そう言う善さんの頬には、綺麗な水が伝っていた
「いいえ。出来れば笑って欲しいです。
…でも、泣きたいんなら我慢しないで欲しいです」
馬鹿なの、君は
そう優しい声で言いながら善さんはまた、泣いた
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
44 / 138