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「わー、こんな感じなんだ」
ビデオ屋に入ると感嘆を漏らした善さんがくるりと周りを見渡す
反応を見る限り頻繁に来る様な感じはしなく、むしろ初めて来たという感じだ
「あんまり来ないんですか?」
「うん、全然行かないかなー。
なんか借りたり返したりが面倒くさくって」
面倒臭がり屋な善さんらしい理由だ。
ビデオを借りようとぐるぐると店内を見て回ると、ホラーの種類がずらりと並べられている棚にたどり着いた
「…爽太君ってこういうの、好きなの?」
「んー、好きでも嫌いでもないです。あ、でも夏になると見たくなりますね」
一際目立つ恐ろしい表紙のビデオを手に取ると、隣にいた善さんがピクッと体を揺らした
「善さん?」
「ん?どうしたの?」
さっきのは気のせいだったのか、何でもないように笑っている
あらすじを見るとなかなか面白そうで、一人では気が引けるものの二人一緒なら楽しめそうだ
「それが見たいの?」
「はい。4枚で1000円なので2枚ずつ好きなの借りましょうか」
そう言うと善さんは分かった、と言ってから店内を探して回った
少し離れた場所から見る善さんはやっぱり現実味に欠けていて、良くできた絵画や人形を見ているようだ
そして、それが動いているのが不思議に思えてしまうというか、なんだかそこだけ流れている時間軸が変わっている気がしてならない
そんな事を考えてぼーっとしていたら、善さんはいつの間にか隣に来ていた
「よし、これにする。」
「決めるの早いですね。何にしまし…」
善さんの腕に抱えられていたビデオに目を向けると、18禁のビデオが抱えられていてバクバクと心臓が鳴り出す
「いや、ちょっ、と何持って来てんですかっ……好きなものとは言いました、けど…それは」
「ぷっ、…あはは、可愛すぎるから、ほんと…っ…もー狙ってるの?」
クスクスと笑いながらそれを元あった場所に戻し、次に持って来たのは可笑しなものではなくファンタジー系の物だった
「爽太君って純情だね」
「善さんもさらりと冗談言うんですね」
「え?冗談って言ったっけ?」
「…っえ⁉︎」
「じょーだんです」
そんな会話をしながら、ややハラハラ?した時間を過ごした
そして隣を歩く善さんは未だに肩を震わせて笑っていて、爆笑とは言わないけれど良く笑う善さんが珍しくて、揶揄われている事も忘れて見入ってしまった
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