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「っ、冷た」
海に足を少し入れ、そう声を漏らしたのは善さんだった
翔はずんずん進んで行き早くー!とこちらに手を振っている
何だろう、同い年で見た目は大人びて見えるのにすごく子供っぽい
「翔は元気だなー」
もはや孫でも見るかのような目線で千紘さんはそう言うと、翔と同じように躊躇わず海に入る
そして翔の元へ着くと同じように手を振った
「あはは、子供が一人増えた」
「よしっじゃあ俺らもっ」
「えっ待って……っ、!」
善さんの手を引いて海に浸かる
驚いたように目を丸くして軽く放心状態だ
「ぷっ、善なんて顔してんの」
「はは…っ善さん目ぇまる!」
翔に関してはそこかよ、と思ったけれど
いつも切れ長で、トロンと垂れさせている目元からは想像も出来ないほどまん丸になっていた
「びっくりしたぁ…でも一回浸かっちゃうとそんなに冷たくないね」
「ふ…っ、もうちょっと沖の方へ行きましょうか」
足がつくギリギリのラインまでみんなで移動すると、どうしてか落とし合いが始まる
「わっ、…あぶなー……」
相変わらず冷静でおっとりした善さん
「っしゃあ!…おちろ!」
いつもうるさい翔
「ふっ、油断してたでしょ」
薄く笑いながら落とす恐ろしい千紘さん
「ちょ!待って待って!」
なんだかんだで翔と変わらない、俺。
大学生にもなってはしゃぐ俺たちはまだまだ子供だなぁと自覚する
それと共に成長してもこうやってはしゃげる友達がいることが嬉しい
「おらっ、よそ見してんなよ!」
「うわっ…翔かよ…」
背中にのし掛かってきたのは翔で、なんだか素肌が触れ合う感じが絶妙に気持ち悪い
「やーめーろー」
「嫌だねっ」
そんなやりとりを見て年上組は楽しそうに笑う
ふと見た善さんの髪が濡れて、オールバックにされた髪型に目を奪われる
綺麗な額に、スッと伸びた目と眉、それらが前髪に隠されていた時よりも明らかになって
より大人っぽく色っぽく見えた
「もーいい、おぶったまま海岸に連れて行く」
「えっ、ごめんごめん。それは勘弁っ」
後ろで男としてのプライドが…っ、とか何だとかギャーギャー騒いでうるさいので仕方なく下ろす
「…つかお腹空いたー」
「確かに。…あ、もう一時だ」
千紘さんが腕につけた防水?の時計を見るなりそう呟いた
それを聞いた翔は何か食べよー、と率先して海に入ったくせに率先して今度は出て行った
「あはは、お腹いっぱいになって、今度はお昼寝しちゃったりしてね」
「…善さん、翔のこと何歳だと思ってます?」
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