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. 善side
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爽太君がお風呂に入って、一人になった空間はとても寂しく感じた。
食器を洗う音だけしか聞こえなくてまるでこの部屋に独りぼっちでいるみたいに思ってしまう
早く、出てきてくれないかな
自分からゆっくり休んでと言ったくせに、本当に虫が良すぎる話だ。
食器も洗い終えてしまいソファーに座ってテレビでも見ようかと移動すると
「善さん、ただいま」
まるで心の中を読まれたみたいに爽太君はお風呂から上がっていた
その体に飛び込むように抱きつくと、フラつくこともなくガッチリと抱きとめられた
「ふっ、寂しかったんですか?」
また、言ってないのに代わりの言葉を言い当てられてしまう
それに顔を上げると、お風呂で肌が艶やかになった爽太君がニッコリと笑っていた
「ううん、大丈夫」
そう言って離れようとすると胸の中に閉じ込められてしまう
「善さん、お風呂俺も一緒に入りましょうか?」
「えー?今出てきたばっかりでしょ」
クスクスと笑うと、爽太君は不安そうに俺を見つめた
そんな顔をさせてしまうなんて、俺は今どんな顔を爽太君に向けているのだろうか
「一人にして、大丈夫ですか?」
「…平気だよ。心配症だねぇ」
今度は腕の中から出て、脱衣所に向かう
鏡に映った自分の肌がなんだか汚い。
押さえつけられて、殴られた場所が赤黒く変色し、その後を見ているとさっきのことを思い出すようだった
「……っ」
その記憶を振り切るようにシャワーを捻り、冷たい水を頭から被る
一人になった途端、こんなにも弱い。
肌を這う手、口内に、後ろに入れられたもの
全ての行動が今起こっているようなそんな錯覚に陥って行きが、苦しくなる。
俺がされたことなんて大したことじゃない。
ましてや俺は男で、同性の見知らぬ奴らにされた事に怯えて震えてるなんて阿呆らしい
そう思うのに、体からはだんだんと力が抜けて
床に蹲ってしまい、全身に冷たい水がかかる
「………っ」
冷たい水が、体の感覚を鈍らせて
あの気持ちの悪い感触を忘れさせてほしい
だけど、目を閉じても体が冷えてもフラッシュバックする記憶が息を浅くした
「善さん……?あの、大丈夫ですか?」
ドアの向こうから聞こえた、優しい声に涙が溢れる
大丈夫だよって、笑ってそう言いたいのに
役立たずの喉だ。
「すみせん、善さん開けますよ………
…っ、善さん!」
ガラッと風呂場のドアが開けられて、冷たい水が爽太君の手によって止められる
体は寒さなのか、恐怖からなのかは分からないけれど有り得ないくらい震えてて
怖くて、情けなくて、苦しかった
「………っ、の馬鹿…!何やってんだよ!」
初めて聞いた爽太君の怒鳴り声
次の瞬間には濡れた体ごと温もりに包まれていた
「……体、濡れちゃう」
「知ってます」
怒ったように、だけどこの上なく優しいそれ
「大丈夫大丈夫」
「……っ、ぅ……ふ…」
背中をあやす様に撫でられて、さっきまで息が詰まった様な感覚は直ぐに消え去った
けれど今度は
涙が溢れて溢れて
もう、止めようがなかった
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