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「ふー、楽しかった」
満足そうに翔がそう言って、DVDを取り出した
隣にくっ付いたままの善さんは疲れてしまったのか、うとうとしている。
それも頭が俺の背中に時よりコツン、と当たるくらいには
「善さん眠いんですか?」
翔がテーブルに肘をつきながら善さんにそう、問いかけると静かに首を横に振った
「ううん、そんな事ないよ」
トロンとした瞳でゆっくり弧を描く口元は、とても艶っぽく見える
それが翔にも伝わってしまったようで顔を少し赤らめた
「………….おい」
「っ、だってそんなの不可抗力だろ!」
勘弁してほしい。これがたまたま翔だったから良いものの変な趣味の奴に見られたら危険極まりない
「善、眠いんだったら寝れるときに寝ちゃいな」
「あはは、本当に心配症だねぇ」
きっと夜一人だと眠れないんだろう。
千紘さんが俺に言った、一人にしちゃ駄目という言葉がまた思い出された
もしかしたら他人からして見れば大袈裟だ、とか心配し過ぎ、と思う人もいるのかもしれない。
でも、そう思うのが自然となるくらいに善さんは危うい
「あ、なんなら俺が子守唄歌ってあげましょうか」
「えー?余計に目が冴えちゃうんじゃないの」
今日の言葉に揶揄う余裕があるくらいは意識はまだハッキリしているけれど、その言葉のスピードや雰囲気から眠いのなんて見て分かった
「ほら、子供はよく寝ないと育たないよ?」
千紘さんが言い聞かせるように善さんにそう言って、頬にかかる髪を耳に掛けた
「ふふ、何それ」
もうこちらが良いよ、と言えば目を閉じてしまいそうなくらいな善さんの手を引いて立ち上がらせる
そしてそのままベッドに横にさせた
リビングとは少し離れているけれど、どちからとも見える範囲だから善さんも安心して眠れるはずだ
「一人だと眠れないんですか?」
ベッドに寝かせて掛け布団を上からかける。
そして、そう聞くと善さんは曖昧に頷いた
「んー、眠れないって程じゃないけどね」
普段人に弱音を見せてくれない善さんが言うなんて、きっとよっぽどなんだろう
白い顔が寝不足なせいで余計に白く見えて心配になる
「そうですか……眠れないんなら言ってください。電話でも、メールでも、直接でも。
直ぐに飛んでいきます」
「ふ、やっぱり魔法使いなんだね」
…….その話、まだ覚えてたんだ。
瞼の閉じている時間の方が長くなった時、善さんは俺に薄く目を開いたままこう尋ねた
「自分が大事に思えないのは、何でなのかな」
その言葉は重く、冷たく、俺の心に吹き込んだ
善さんの手を握ればいつもより冷たく感じて、温めるように強く握った
「それは、俺にも分からないです……でも、俺は善さんの事が大事ですよ。善さんは?」
「俺も……爽太君は、大切」
その返答にふわりと笑って、優しく頭を撫でれば気持ち良さそうに擦り寄ってくる
「互いに大事にしあえばプラマイゼロです。
だから、大丈夫だよ、善さん」
「……良かった」
そう言うと、フッと意識が抜けるように眠ってしまった
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