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授業が終わり、今は昼休みの時間だった
学食に移動して潤とご飯を食べていると周りが少しざわつき始めたのが分かった
「誕生日パーティーの次は喧嘩かよ」
呆れたように潤がそう言って、騒いでいる集団に目を向けた
そして俺もそこに何気なく視線を向けるとその集団の中に一際目立つ人が…
「は……っ?何で、善さんが」
潤もそう思ったらしく、ほぼ二人同時に席を立った
そして足早にその場所へ向かう
「すみません、余所見してたら当たっちゃって」
胸ぐらを掴まれている善さんは、壁に追いやられている
それなのに本人は焦ることもせず、むしろ怖いくらい冷静だった
「あぁ?それで許されると思ってんのかよ」
「………………はぁ、面倒くさ」
少し遠くでも善さんがそうボソッと呟いたのが分かった
それが相手の怒りに触れたのだろう、壁にドンっと体ごと打ち付けられる
「……ちょっ、と…暴力は良くないでしょ」
相手を無理やり善さんから引き剥がすと、面白そうに笑った
うちの学校は学食が美味しいと割と有名で、そのため一般客もよく来る。
こいつは多分、その経緯で入って来たのだろう
「爽太君、いいよ…っ」
自分が危ない状況の時はびくりともしなかったくせに、ほんの少し俺が睨まれただけでこんなにも怯えるなんて
それに顔を見て気が付いたことが。
頬の横が切れて少し血が出てしまっている
「こら、そこ何やってんだ」
騒ぎを聞きつけた警備員の人がやってきて、その場はなんとか治った
すると、直ぐにある一人の女の人が泣きながら善さんに謝り出した
「すみません…っ、私の、せいなのに……怪我までさせてしまって」
「謝らないで?俺が勝手に首を突っ込んだんだから」
その女性を安心させるように、背中を優しくさすった
最初は、あの善さんが喧嘩に巻き込まれる理由が分からなかったけれどようやく分かった。
「でも…っ、私がぶつか……」
「違うよ、俺がぶつかったんだ。だから貴方が気にすることは何もない」
やや強引に善さんが言いくるめると女性はもう一度謝ってからその場を後にした
その会話は小さく続けれていたため、周りは何が何だか状況が分かっていないようで少し騒がしかった
「ごめん、余所見してたらぶっついちゃったみたい」
俺を見ながら、でも声はいつもより張り上げてその場にいる人に届くぐらいの声量で言った
本当に、この人は本当に損な役回りばかりだ。
「善さん」
「ん?……あはは、眉間にしわ寄ってるよ」
周りはそんな事だったのか、とか、なんだという声が聞こえてその場からどんどん人が少なくなって行った
残ったのは俺と、潤と、善さんだけだ。
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