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「潤君と爽太君って昔から仲良いの?」
「はい。中学の時からですね」
そう言うと善さんはへー、と興味ありげにそう呟いた
普段人に関心がないこの人が俺自身のことを聞いてくれていると思うと素直に嬉しかった
「一色さんは爽太といつから仲良くなったんですか?」
「んー、いつからだろ…。あ、でも初めて会った時は爽太君が女の先輩に囲まれているところだったね」
潤はぶっ、と吹き出して俺を揶揄うように見て、
善さんも当時を思い出すようにクスクスと笑う
「だって、先輩だから強く言えないし、しかも女の人だしでどうしたら良いのか分かんなかったんだよ…」
「あはは、爽太君は優しいもんね」
優しい…の、かな……
善さんは人の短所さえも長所にしてしまう。
だって、悪く言えばそれはハッキリと断れなかった訳でそう言わないのはやっぱり善さんだ、と思う
「え、じゃあお前一色さんに助けてもらったの?」
「……もーいいだろ」
本当に情けない話だ。
すると直ぐに善さんが口を開く
「俺はもし逆の立場だったら適当に付いてっちゃうから断ろうとしてた爽太君はやっぱ優しいよ」
全部許すだけが優しさじゃないからね、と付け加えて善さんは俺らより少し先を歩く
その華奢な背中からは想像が出来ないほど、大きく広い心で
「爽太が一色さんに惹かれる理由、なんとなく分かりました」
「ふふっ、惹かれるって何」
二人で直ぐ後を追いかけて、3人で並ぶ
やっぱり善さんだけ少し小さくて線が細い
「でも、俺も爽太君と潤君が仲良しな理由分かったかも」
口元を手で隠して優しく笑う善さん
それに俺らもつられて笑みを零せば暖かい空間が広がる
「じゃあ、またね」
何事も無かったように帰ろうとする善さんの手を引く
「あの、医務室に行くっていうの忘れてませんか?」
「……あー、……うん」
苦笑いを零す善さんの腕を引きながらまた、道を進む
医務室の前に着くと潤はじゃあ、と声をかけた
「じゃあ俺はここで。…あの、良かったら今度3人で遊びません?」
予想だにしない潤の言葉に善さんは目を丸くするが、直ぐにいつもの顔に戻った
「うん。ぜひ」
柔らかい声色でそう言ってから医務室のドアを開けた
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