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監獄のカーニバル 6
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少年は、幼い頃両親から虐待を受けていた。
その後両親はすぐに離婚。
片親を理由に小、中と虐められた。
物心付いた時から、人から愛を受けたことなどなかったのである。
そして今、その少年は愛されている。
指名手配を受けた食人鬼によって。
生まれて初めて愛をくれた人間はもうすぐ監獄に入ろうとしている。
あわよくば、死ぬ。
「…今、ここで逃げなければ…あなたの首の肉も、今まで逃げてきたことも、私の髪も、全て無駄になるんです。
だから…はやく逃げてください。」
段々、静まり返っていた辺りは騒がしくなってきた。
「でも…」
「はやく」
「…」
男は少年を失いたくなかった
少年はしゃがんで、男の頬に手を添えて言った
「あなたは…私の命の恩人です。
あなが愛をくれなかったら…私は今ここにいなかったかもしれない。
恩返しを、したいんです」
男は首元の痛みも忘れて、人の声のない方へと全力で駆け抜けた。
愛してる、いや、愛していた少年のいのちの分まで。
警察の足音が、少年にだんだんと近付く
建物と建物の間から懐中電灯の灯りが見えた。
今逃げたとしても、もう遅いのだろう。
警察は、殺人鬼に気付いた。
「…手を上げろ」
警察はかなりその食人鬼を警戒していたようだったが、
少年は抵抗せず、あっという間に逮捕され、監獄に入った。
自分を愛した食人鬼のために。
男は普段フードを被っていたから、顔で少年が疑われることはなかった。
少年は「歴史上最悪の食人鬼」とされ、全日本、全世界に発信された。
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