アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
キスをさせてみよう(妄想シリーズ)
-
俺は今、退屈な数学の授業中だ。
食後という時間帯と、常に黒板に向かって話をする先生の授業との実に絶妙な組み合わせのこの状況下では、皆睡魔に勝てないのだろう、うとうとしている者、机に伏せている者が続出している。
俺の目の前に座っている細田君は、寝てこそいないものの、手いじりしたりシャーペンを机に置いてぼーっと黒板を見ている。
彼の襟元の髪が少しだけ撥ねているのがまた愛らしい。
すっかりやる気がなくなった俺は、シャーペンを握ったまま先生の声を受け流しながら、妄想に専念したのだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
放課後の教室は日中重宝されるカーテンが隅に小さくまとまり、夕日が遠慮なく差込んで机や床を照らしている。
その風景が寂しげに映るのは、光源が日光だけだからか、それともこの人気の無さのせいか。
もし、この様子を誰かが見ても男子2人が黙々と勉強しているようにしか見えないだろう。
クラス内でも、仲の良い友人で通っている。
しかし、少しだけ違う。
すっと先程シャーペンを投げ出した右手を、軽く丸まった葵の左手に重ねる。
葵はちらりとこちらを見た後、ゆっくりと手を絡めた。
なんだか恥ずかしくなって、苦笑いをしてしまう。
机を挟んで向かいあっている葵の表情は、照れよりも、熱っぽさが出ている。
俺は攻めAだ。
周りからは吹奏楽部が練習している音が聞こえる。けれども、この教室に人がくる様子はない。
今が、一番のチャンスだ。
「なあ、キスしていいか。」
言い出しっぺの癖して顔が熱くなってくる。葵からは逆光になっているはずだから、見えないと思いたい。
肝心の葵は、かなり赤くなっている。
色白だからよく分かる。
「え........い、今?」
視線をあちこちに巡らす葵を見て、顔の緊張があっという間に緩む。
ああ、可愛い。
俺の心の声が聞こえてしまったらしい。
葵が困り顔をしている。
これ以上にやけてしまっては台無しになってしまう。
俺は身を乗りだしそっと唇を合わせた。
心臓がドクドクと波打ち、自分がゆらゆら揺れているような感覚がする。
そういえば、学校でするのは初めてだ。
ああ、幸せ。
名残惜しいけどあと少しだけ。
このままでは、恥ずかしさに俺が持たない。
葵も同じだったようだ。唇を離すなりすぐさま顔を覆った。
「帰ろっか。」
もう勉強に集中できそうにないから。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
はい最高。
そして手を繋ぎながら帰るよな知ってる、そう相場が決まっている。
授業終了を告げるチャイムが鳴った。
目の前のうつ伏せになっていた細田君がびくっと動いた。
なんだっけ、ジャーキングっていうんだよな、こういうの。
いやはやとても有意義な時間だった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
5 / 5