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それから2日の間、重苦しい雰囲気が流れた。
といっても藤堂さんは仕事があって朝早くに家を出るし、夜は遅く帰りは21時を回る時もあって、同じ空間にいるのは1日せいぜい10時間ほど。
睡眠時間を除くと、たった3時間ほどしか一緒に過ごさない。
それでもこの空気、そして藤堂さんが発する圧みたいなものが耐え難い。
昼間は1人だから、洗濯をしたり掃除をしたりして暇を潰す。
そして昼ごはんは何やらお弁当のようなものが届く。
藤堂さんが手配してくれているようで。
食欲は大してないけれど、残すのは勿体なくて。
この重苦しい雰囲気をどうにかしたくて意を決した。
「お疲れ様です」と帰宅した藤堂さんに声をかけると、「あぁ」と短い返事が返ってくる。
ここまでは昨日も同じだったんだけど…
「あ、あの…」
「なんだ」
「俺に出来ること、他にはないですかね?」
「何がしたい」
「自分の食事くらい自分で作ろうかな…って、ダメですか?」
「口に合わないのか」
違う。彩りも良くてバランスも良くて美味しくて、どう見ても高そうなお弁当。それを食べさせてもらうなんて俺には贅沢すぎるんだ。
怪訝そうに俺を見る藤堂さんに慌てて首を横に振る。
「ここに来てから藤堂さんの役に立ててないし、それなのに美味しい物ばかり食べさせてもらってて…っ」
「ふっ、なるほどな。いいだろう。だが、俺の分も作れ」
それが条件だ!と言い放った藤堂さんに驚きが隠せない。
「普通の物しか作れないから…」
他人に食べさせられるほど凄い物を作れるわけじゃないし、本当にど庶民の普通の料理。
「構わない。外食や出前ばかりなのも良くないから丁度良い」
こうしてこれから食事も俺が担当になった。
といっても全く外食や出前をしないわけじゃないだろうけど。
ここに来てから数日は毎日高そうなお弁当だったし。
逆にこの重苦しい雰囲気の今、食事を一緒にして、更にそれが俺が作る料理だなんて。気が重すぎる。
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