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もう要らないと言われるのは分かってる。でも、一応聞かなきゃダメだよね…?
「足りました?」
「まだ食える、と言ったらあるのか」
返ってきたのはまさかの答え。
要らないと、いや、今後もう一切要らないと言われると思っていた。
ハンバーグは少し作りすぎたせいでまだ残っているけど、明日の昼ごはんに回すつもりでいたし。
頷いた俺に「じゃあ貰う」と空になった皿を渡してくる藤堂さんは相変わらずの無表情。
おかわりしてくれたということは不味くはなかったんだと思う。が、美味しいとも言ってくれないし、かといって無表情からはやっぱり何も読み取れない。
でもまさかおかわりをしてくれるなんて思っていなかったから、それだけでも嬉しい限りなんだ。
それに俺はペットという立場だし、美味しいと言ってほしいなんて思っちゃいけない。
「ごちそうさん」と聞こえて顔を上げると、空になった皿が見え、そして無表情…のはずだったんだけど。
見えたのは和やかな空気を纏った優しい顔をした藤堂さんだった。
「明日はもう決めているのか」
「え、…は?」
「明日は何を作るのか、決めているのかと聞いている」
「いえ、…まだ、何も」
全く想像もつかない問いで、明日からはもう要らない、と言われると思っていたもんだから明日も作るだなんて思っていなくて何も考えていなかった。
オロオロしながら明日の献立を必死で考えてみるけれど、焦りも相まって何も思い付かなくて。
「オムライス」
え?
キョトンとする俺に「作れないのならいいが」と補足される。
オムライスなら作れるけど。とろとろ卵なんて無理だからものすごく庶民的なオムライスだけど。
「明日はオムライスにします」
「あぁ。それより、今日は何故ハンバーグだったんだ?」
「好きだと聞いたので」
そう答えた途端、何故か藤堂さんの目が鋭くなって…怒っている?
そして冷たい空気を纏って俺に問う。
「誰にだ」
「お買い物してきてくれた…錦さん?て人に。何を作ったらいいか分からなくて」
冷たい空気はそのままに、無言の重圧をかけられている俺はまるで蛇に睨まれた蛙。
ペットの分際で藤堂さんの部下に気安く話しかけたのが悪かったんだ。
立場をわきまえず調子に乗ったから。
「ごめんなさい…っ」と俯きながら半泣きで謝る俺に近づく影。
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