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―――
そうして翌朝。
朝9時に用意された迎えの車に何故か藤堂さんと共に乗り込んだ。
色々聞きたいことはあるんだけど、まずは…
「あの、お仕事って…」
今日は普通に金曜日、つまり平日。
本来平日なら当たり前に仕事のはずだよね?
「気にするな」
って言ったって気になるって。
疑問と不安が入り交じってもう言葉にならないけれど、でも隣に居てくれるのは正直少し安心する。
1人じゃないんだ、って思える。
「おはよう、竜くん。すぐに手術ってわけでもないからそんなに緊張しないでいいよ」
この前のお医者さんが出迎えてくれて入院手続きも済ませ、通された病室へと足を踏み入れる。
病室っ?!
白い部屋に白いベッドがいくつかあって白いカーテンを開けた先におじいさんやおばあさんが寝ていて…
と想像していたものとは違う目の前の光景に言葉を失った。
部屋自体は白っぽい。
が、何故かソファと机があって、薄いオレンジ色のカーテンに病院らしくないホテルにあるようなベッドが1つだけ。
小さな冷蔵庫にテレビ、トイレまである個室。
いや、普通の個室とは違うだろう内装。
「あの…ここって」
「あぁ、お前の病室だ。好きに使えばいい。大部屋と違いテレビだって見放題だし、入り口には監視カメラもついているから安心だ」
違うってば、なんでこんな良い部屋…
お医者さんもウンウンと頷いていて、これがこの人達の普通なの?
俺なんかのために、絶対高いだろうに。
「若頭っ、必要な物をお持ちしました!」
そう言って表れたのは、赤い短髪のいかにもな強面。
藤堂さんの部下さんに間違いない。
その手には黒いボストンバッグを持っていて、豊島さんが受け取っている。
「ご苦労」
藤堂さんが発したのはたった4文字なのに、「はっ!」と頭を下げていて、改めて凄い人なんだと感じる。
失礼します、と豊島さんが受け取ったボストンバッグから中身を取り出している。
机の上へと広げられるのはタオルとバスタオルが数枚、着替え一式とリクエストしていた充電器とイヤホン。
それに何故か頼んでいない携帯ゲーム機。
タオル類はベッド近くの棚へと綺麗に収納され、着替えもクローゼットの中へとしまわれた。
そして、ベッドについている机に充電器とイヤホンと携帯ゲーム機が並べられた。
「スマホはご自分でお持ちで?」
もちろん。忘れずにポケットへ入れておけ、と家を出る前に何度言われたからズボンのポケットにちゃんと入れてきた。
ポケットから取り出し充電器の横へとスマホを置く。
「まずは説明するよ。大腸癌ステージ0の手術のために竜くんは今日から入院なんだけど、手術をするのにも体力も使うし麻酔を使うから体調が良くないと危険なんだ。数値だって色々調べなきゃいけないしね。だから、すぐ手術は出来ない。検査入院って形になるかな。全ての準備が整い次第手術へと移る。それまでは規則正しい生活をしてもらう。それ以外は自由にしてくれていいからね」
一通り説明が終わり、分かりやすい説明だったおかげでちゃんと理解できた。
質問はある?の問いに左右に首を振ると、じゃあねー、と去って行ってしまった。
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