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言葉( fjky 甘々 )
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「俺らって付き合って何年だっけ」
ひょんと音がしそうな程のタイミングで
フジがキヨの方を見上げて尋ねた。
キヨは一日分の野菜がとれるという
野菜ジュースの紙パックから口を離す。
ちゅーっと上まで吸い上げられていた
ストーローの中の野菜ジュースがその水位を下げた。
高校を卒業して
ばらばらの大学に進学してる途中。
フジが失恋をしたことをきっかけに交際が始まったから……
「4年くらい?」
「へー」
尋ねたのはフジのほうなのに
フジの気のない返事が二人の間を抜けた。
「どうした?突然」
「別に。
そろそろこうやって側にいるようになって
10年くらい経つかと思って」
「俺らいくつだよ」
キヨがぷっと吹き出して笑い
また野菜ジュースをすすり上げる。
中はほとんど空になり
ずずっという音が紙パックを振動させた。
「俺らって告白とかしたんだっけ」
「覚えてねー」
「どうせ俺がしたんだろうなぁ」
「フジはよくそーいうの
恥ずかしげもなく言うからな」
「俺も最中はよく、
ね。好き好きって言われるけど」
キヨの顔がぶぁっと赤くなる。
いい返そうと口を開けるが
思い通りに言葉が出てこず
そのまま黙ってべこべこと紙カップを伸縮させた。
キヨから空の箱を取り上げると
近くにあったゴミ箱へ投げ捨てる。
見事な弧を描いてそれはゴミ箱に吸い込まれ
キヨは感心したようにフジを見上げた。
フジはその目に見つめられると目をそらせなくて
そのつもりがなくてもじっと見つめてしまう。
「キヨって愛してるって言わないよね」
「そうだな」
「言ってよ」
「いわねぇよ」
「愛してないの?」
「そんなわけねーじゃん」
「聞きたい」
「なんで?」
「俺は愛してるよ。
キヨは?」
「言わなくてもわかるだろ」
頑として口を割らない。
居心地の悪そうに顔を背けるキヨの顎に手をあて
無理やり自分の方を向かせる。
「言ってよ」
「わかってるだろ?」
「そういう問題じゃない。
俺はキヨのこの口から聞きたいの」
その唇を噛みつくように奪った。
「んむ……っ!」
キヨは目を見開き軽く抵抗を試みて
フジの肩を押したが離れないことがわかると
すぐにうっとりと目を潤ませた。
目を瞑って唇の感触を楽しむフジは
キヨの潤んだ瞳に気付いていない。
唇を甘噛みすれば
胸の辺りからぞくぞくと快感が競り上がってくる。
キヨがフジの首に腕をまわす。
フジはキヨの上に覆い被さるようにして
その唇を堪能する。
キヨの方から柔らかい舌を絡めようとした途端
意地悪くフジは唇を離した。
「あ、」
キヨの口から名残惜しそうに声が漏れる。
「俺のこと愛してる?」
「……うん。」
キヨが目をそらして
妙に長い5秒が過ぎてこくりと頷いた。
あまりに一瞬のことで
フジは聞き逃すところだったが
ギリギリ鼓膜に納めており心臓が跳ねた。
「え?
今のもう一回」
「だからうんっていってんだろ」
「うんじゃなくて
フジ愛してるよって言ってほしいんだけど」
「うんで伝わる!
はい、もうこの話終わり終わり」
訴えも虚しくそっぽを向かれてしまった。
どうしても言わせたい。
言ってほしい。
だが頑固なキヨはこうなってしまえば
ますます言わないことはよく解っていた。
「キヨ、いつか言ってくれるよね」
「お前がうるさくなければ
言わなくもなくなくない」
「分かりづらい」
二人は声をあげて笑った。
幸せな時間は惜しむようにゆっくりと流れていた。
__言葉end
こ「俺たちもいるんだけど」
ヒ「イチャイチャしてんじゃねぇよ!」
キ「見るなよ!帰れ!」
フ「二人ともごめんね~」
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