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ルーにぃと手を繋ぎ、とう様とかあ様の私室に向かう。すでに身体が震えて怖くて足が思うように動かない。
「フィ、抱っこしようか」
ルーにぃの言葉に首を横に振る。
「大丈夫、ありがとう、にぃ」
使用人の誰ともすれ違わない。気を使ってもらってる。生まれてからずっと。
歩いて大きな扉前についた。
部屋の中にも誰もいなかった。手を引かれ、病の母が安静にしている寝室に向かう。無意識に足が止まった。
「フィ」
スーハーと息を吸う。ルーにぃもクーにぃもいてくれる。大丈夫。
ギュッとルーにぃの手を握る。クーにぃがノックをした後にドアを開けた。
「いらっしゃい、ルーちゃん、クーちゃん、フィちゃん――」
ベットの上で半身を起こしているかあ様は一回り痩せていた。顔色も悪い。
真っ白いネグリジェに灰色のカーディガンを羽織っている。
「フィちゃん」
名前を呼ばれて身体がビクッと震える。目の前の母は僕を痛め付けた親とは違う。分かっているのに怖い気持ちに支配される。
「フィちゃん、見て、私の手は誰かを殴ったりしないわ」
爪も伸びてないしネイルもしてない。僕を殴っていた手と全く違う。
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