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なんで俺のこと好きなの?
……そんな、甘酸っぱい質問ができるわけもなく、近くのカフェでアイスコーヒー片手に風見くんと向かい合う。
…つい見栄を張りたくてアイスコーヒーを注文してしまったが、風見くんもアイスコーヒーを頼むとは思わなかった。
「すいません、あんな公共の場で突然…嫌でしたよね」
「…………うん」
「本当に俺っ…じゃなくて、僕、慌ててる時って周り見えなくなっちゃって……今あなたに話しかけないと、もう一生会えなくなるかもしれないって思って……」
へぇ…普段は、俺っていうのか。
それに「一生会えない」なんて、どこぞのメロドラマみたいなこっぱずかしいセリフを言われるとは思ってもみなかったよ。
ふと、視線を落とすと、コーヒーを両手で握る風見くんの手は、少し震えていた。
緊張しているのか。それとも、これも演技…?
「……あのさ、ごめん。ちゃんと言えばよかったね。俺は…」
「あなたが好きなんです!!」
いや、もう、本当になんなのこの子、人の話は最後まで聞けってお母さんに習わなかった?ゆとり世代なの?周り見えないの?
案の定、チラチラとこちらへ向く周りの視線をビシバシ感じながら、あまりに恥ずかしくて俯く。ああやばい、こっちまで顔赤くなってくる。
落ちおけ俺、相手は男だ。そうだ飲みもん飲もう。
「からかってないです、本気なんです。俺もなんで男の人を好きになったのかわからないけど、とにかく、あなたのことが……」
「っにっが!!」
あまりの緊張で注文したのがアイスコーヒーだということを忘れていた俺は、いつものように紅茶だと思って飲んだアイスコーヒーを盛大に吹き出し、さらにコップをテーブルへ落としぶちまけてしまった。
「大丈夫ですかお客様!」
「うわっ、ごめん!!」
アイスコーヒーは、ほぼ全て目の前の青年の制服に溢れ、じわじわとシミを作り始めていた。それと同じくらい、俺の顔も青く染まっていく。
慌てて駆け寄って来た店員が、タオルで風見くんの制服を拭く。俺はただオロオロするばかりで、呆然とする風見くんの顔を見るしかなかった。
…やばい。制服って、クリーニング? 洗濯? コーヒーのシミって一日で落ちるんだっけ?
「えっと、風見くん、大丈夫…?」
「……酷いです。そんなに嫌なら、直接言ってくれればいいのに…」
「え? いや、違くて……」
「っ…ぅ…」
ああーやばい、泣かせちまった。これはさすがに演技じゃないだろう。話の途中でコーヒーをぶっかけられるなんて、さすがに想定外だろうし…。
このまま帰すのも、親御さんに洗濯の迷惑をかける羽目になる。ここは…。
「風見くん、良かったら、うちに寄って制服を洗濯させてくれないかな…?」
「っ………え?」
「さすがにそのままじゃ、帰りづらいだろうし……いや、嫌なら別にいいんだけどさ」
クリーニング代、いくらかな。なんて呟きながら財布を取り出す。
しかし、さっきまで泣いていたはずの風見くんは、突然立ち上がってそれを止めた。
「寄ります……洗濯、してください!」
「あ、ああ……良かった」
とりあえず、これが大人の対応…だよな?
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