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「あ、そうだ!章優さんに相談があったんですよ!」
「相談?」
「俺、章優さんの話してくれる物語が大好きなんですよ。だからそれを形として残したいなと思って小説にしてみようと思うんです!!……嫌、ですか?」
「ただの俺の妄想なのに、そんな小説になんてならないんじゃないか?」
「そんな事ないです!!章優さんの作り出した世界観を文字にしてみたいんです。でも本にしたいとかじゃなくて最近だとネットでも投稿できるサイトがあるみたいなので暇つぶしにでもと」
半ば強引に話を進めて俺は章優さんの物語を文字にしてみる事になった。
急に物語を作れ!なんてそんな事言えないのでとりあえず暇なので俺は今までに聞いた話を小説にしてみることにした。
俺がパソコンで文字を打っている間、章優さんはテレビをつけて音だけを楽しんでいる。
こんなに暇なのに章優さんは一切外に出ようとしない。家の中にいてもする事ないのにと思うけれど目が見えない人には外は恐怖なのかもしれない。
ずっと家の中で、過ごしてきたんだよな…よく俺、出会えたよな。
「ねー章優さん?」
「んー?」
「俺と出会った時のこと覚えてますか?」
「当たり前じゃないか、あの時はなんだこのガキって思ってたよw」
「え、酷い!!!!」
章優さんは俺の反応を聞いてクスクスと笑っている。
でも確かにあの時の俺は必死で、凄い面倒くさい子供だったよな。ずっと遊ぼう遊ぼうってしがみついてた…。
そうだ、あの時章優さんは外に出ていて公園で出会ったんだ。家出をしていたって言ってたけどよく考えると目が見えないのによく家出しようと思ったよな…、それによく公園にたどり着いたな。
「もう9年経ちましたね」
「俺、四捨五入すると30歳だ…wwもう9年か…そりゃ歳もとるよな」
「あんまり変わってないですよ。昔も今もとってもかっこいいです」
「俺の奥さんはおだて上手だな~」
「な?!だから奥さんって!!!」
そういえばと話を変えた章優さんに俺は頭突きをした。
奥さんなんて…俺は章優さんにふさわしくないのに…。
そう思っていると章優さんは頭突きした俺の頭を優しく撫でる。髪の毛を指でくるくるしたりして遊んだり髪の毛にそって指を這わせたりとまるで犬みたいじゃないか。
でもなんか幸せだなと思ってしまう。
きっといつかは別れがあるだろうけど、出来ることならこの幸せな時間がずっと、ずっと続けばいいな……。
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