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次の日
(プルルルルルル
いつも通り朝ごはんを作っていると、電話が鳴り始めた。俺は急いで手を洗って受話器を取る。
「はい、滝沢です」
『あら、幸仁くん元気してる?』
「あ!茜さん!お久しぶりです。
どうかしましたか?」
『今日か明日、家に寄ってもいいかしら?ちょっとあの子に話があるの』
「全然大丈夫ですよ、もうすぐで章優さんを起こすので今日か明日どっちがいいか聞いておきますね」
『じゃ、また後で電話するわね!それじゃまたね」
彼女は滝沢茜(たきざわ あかね)49歳
章優さんのお母さんだ。昔から優しくて子供の頃よくクッキーを焼いてくれた。
それより話ってなんなんだろう…
多分お見合いとかそーゆーのだろうな、なんかそうな気がしてきた。俺にお見合いなんてしないでと言える権利なんてないから何も言わないが、茜さんが紹介するって事はすごい素敵な人なのは間違いないだろう。
「そんなの、勝ち目ないじゃん…」
「勝ち目?」
「へ、うわぁぁぁぁ!!!!!あ、あ、あ、章優さん?!いつ起きたんですか!!びっくりさせないで下さいよ!」
「さっきの電話の音で起きたんだ、今何時?」
「今は8時54分です」
いきなり背後に立っていた章優さんに驚かされながら、俺は途中まで作っていた朝ごはんをまた作り出す。
今日はいつもより6分早起きだ!とちょっと嬉しそうな章優さんを見てつい微笑んでしまう。この光景ももう見れなくなってしまうのかな…。
「それで、母さんが来るんだろ?いつ?」
「今日と明日どっちがいい?って言ってましたよ」
「今日か明日か…いっそのこと来なくていいのになぁ」
「こーら、そんな事言わない」
章優さんもお見合いだろうと考えているみたいだ。章優さんによると章優さんのご両親は凄く結婚させたがるらしい。
でも、目が見えないっていうことは誰かにサポートしてもらわないといけないわけだしご両親も早く安心したいんだろうな。
朝ごはんも食べてのんびりしているとまた電話がかかってきた。そして次は章優さんが電話に出るというので受話器を渡した。
「もしもし」
『あら、章優おはよう』
「来るなら今日来なよ、どうせお見合いの話でしょ」
『話が早いわね、分かったわお昼頃伺うけどどこかに食べに行かない?』
「嫌だ」
『そうしましょうか、予約しておくわねちゃんとした格好するのよ?それじゃ後でね〜』
近くで聞いていたが章優さんの唐突さは茜さん譲りなんだな…。そして強引に切られた受話器をテーブルにおいて章優さんは目を瞑って上を向いて何かを考えている。
「章優さん?無理に外に出なくても大丈夫ですよ…?俺からも茜さんに…」
「ありがとう、幸仁は優しいね。大丈夫、幸仁がついてきてくれるなら頑張って外に出る」
「章優さん…偉いですね」
「ご褒美にキスしてくれる?」
「ふぁ?!?!?!?!」
あー、またやられたと思った時には遅くて俺の反応を聞いて章優さんは爆笑している。
いつか仕返ししてやろうと思うけれど笑っている章優さんを見るとどうしても許してしまう。惚れすぎだろ、俺...。
特技も取り柄も何にもない俺だけど、章優さんへの愛なら誰にも負けない自信がある。そう思っているけれど章優さんにふさわしい素敵な人が現れるのではないかと不安を募らせながら俺は昼を待った。
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