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「俺、いない方がいいのでは…」
「いいえ構わないわ。どうせこの子は話をしても聞くつもりないでしょうし」
コースも最後となりデザートと紅茶が運ばれて来たがそれに手をつけず茜さんは章優さんを見つめ急に顔をしかめた。
「ちょっと、そこの方宜しいかしら?この子の紅茶、アイスティーにしてストロー付けてもらえる?これじゃ火傷しちゃうわ」
「失礼いたしました、すぐにお持ちいたします」
茜さんの指摘にオーナーさんらしき人が謝りに来きたが、もともと用意していたアイスティーを違う席の人に渡してしまっていたらしい。
ファミレスだったらこんな丁寧に謝りに来ないのに、ここは世界が違う…。
「さて話を戻すけど章優、貴方今恋人はいるのかしら」
「幸仁が俺の奥さんになってくれた」
「あ、あ、あ、章優さん?!?!」
「はぁ、貴方いつまで幸仁くんに迷惑をかけるつもりなの?」
「孫が見たいなら、兄さんに頼めばいいだろ?俺に孫は期待出来ないよ」
俺が奥さんってところに誰もつっこんでくれない中、茜さんと章優さんは恋人を作れ作らないの言い合いをしばらくし続けた。だが、お互いが引かないので痺れを切らした茜さんが強引にお見合いの方の写真をテーブルに置いた。
「写真は俺には必要ないでしょ」
「幸仁くんに見てもらうのよ、目の見えない貴方に見せてどうなるのよ」
「え、俺ですか…?」
「どう?素敵な方でしょ?」
見せられた写真には清楚で綺麗な女性が写っていて章優さんと並ぶととても絵になるだろう。でも、たしかに綺麗で優しそうだとは思うけど正直、好意を寄せている人のお見合い相手を褒めるのはキツイものがある。
「綺麗な方だと思います」
「そうでしょ?この子は今24歳でリハビリ師をやっているの。それにこの子のお母さんも目が見えないらしくて、その辺の配慮や援助も出来る子よ。貴方にぴったりだと思うけど」
「俺は、自分の人生で出会った人といたいんだ。勝手に決めてほしくないよ母さん」
「だって…私だって心配なんだもの…」
ここで凄いと思うのは俺だったら嫌な事を強要されたらカッとなってすぐ家族と喧嘩をしてしまうが章優さんは落ち着いていて自分の考えをしっかりと訴えている。
これも大人と子供の差なのかもしれないが、そのおかげか茜さんも言い合う気が無くなったみたいで残念そうにデザートのケーキをつついた。
「まぁ、別にいいわ。私だってあっさりと決まるとも思ってないし?自分の人生で出会う?それなら裏で糸を引いてやるんだから…!!」
「母さん、それ俺の前で言っちゃダメでしょ」
料理への配慮や火傷しないように熱い紅茶をアイスティーに変えたり、お見合いの事だって章優さんを思っての事なんだろうな…それを分かってるから章優さんはカッとならないのかもしれない。
俺の親...もうすでに俺のこと諦めてたけどな...。
「あの…それより……」
「ん?どうしたの幸仁くん」
「この店......おいくらです...か?」
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