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「って感じに詩にしてみたけど、どう?」
「いやもう、教科書載りますよ!」
昔話してくれたこの話を覚えていたことに驚きだけど、もしかして今まで話してくれた話も全部覚えているんだろうか…
「詩にすると簡潔になるからこれまた深いですね」
「幸仁はこの話、切ないと思う?」
「切ない…ですね、なんか胸がきゅーってなります」
少女はそこにいるのに、お父さんもお母さんも少女の事は見えない。それでも少女はお父さんとお母さんに話しかけてるてなんだかすごく悲しい。
物語は聞く人の考え方によって捉え方が全然違う、この話を聞いて悲しい、切ないって思う人と優しい、素敵と思う人もいると章優さんは言う
章優さんは色んな視点で物語を作り出す、だからこそ読み手の想像力を膨らませることもできる。
「章優さんはどう思ってこの物語作ったんですか?」
「ん〜俺はさ、目が見えないでしょ」
「はい」
「でもきっと、この世にはそこにいるのに、そこにあるのに誰にも見向きもされないものもあると思ったんだ」
「見向きもされないもの…」
「俺はね、この話は優しい気持ちで作ったんだよ」
章優さんは、この話はたくさんの優しさで出来ていると言う。
亡くなってもなお、少女はいつもお父さんとお母さんのそばにいる。
少女が亡くなってから、ずっと咲き続ける花をきっと娘なんだと思いお母さんはご飯だと水をあげ続けた。
水を吸って大きくなる花を、まるで娘が成長しているみたいだとお父さんは喜んだ。
そしてその花は確かに亡くなった娘そのもので、そこにいるから絶対に枯れない花。
少女が花を作り出している。
その作り出した花は少女
普通とは少し違う、家族の形を章優さんは想像していたらしい。
「そう思うと、題名にあった綺麗なお話ですね」
「人それぞれで捉え方が違う、見方を変えると違う物語みたいに感じる…って、なんか面白いよね」
「教科書載るんじゃ……」
「こんな俺の作り話、誰も聞いてはくれないよ」
いや、結構いいね来てますよ…←
「これって初めから少女は亡くなってて、お母さんとお父さんは花に話しかけてたって事ですか?」
「読み手の捉え方次第かな?読んでどう思ったか、それは人それぞれだよ」
「なるほど…」
章優さんはどうしてこんなに物語を作るようになったんだろう、物語を作るのが好きならそーゆー仕事したらいいのに…
まぁ、やらないって事は何か理由があるんだろう。
「あ、コロッケ食べたい」
「じゃあ晩御飯はコロッケですね、お買い物行かなきゃ、章優さんも行きましょうか」
「嫌だ」
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