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一目惚れ〜真壁涼矢side〜
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一目惚れ。
そんなものある訳がない。
恋人なんてただやらせてくれればいい。むしろ恋人なんか必要ない。
「ねぇねぇ涼矢!帰りどっか寄ってこうよ!」
「えー今日は私と遊びに行こうよぉ〜」
ああうるさい。
今日は高校の体験入学。
最低でも1校は体験入学に参加しろと教師が言うから、地元のバスケが強い高校にわざわざ足を運んだ。
それなのに、俺が行くと知った途端、女共が我も我もと付いて来た。
体験入学どころじゃない、女に腕を引っ張られ、きつい香水を嗅がされ俺のイライラはもうマックスだ。
「俺、ちょっとトイレ」
学校の案内中
女子の甲高い声に我慢できなくなった俺は逃げるように上の階に駆け上がっていった。
流石にトイレにまで付いてこないだろうという思惑通り、誰も俺の後をついて来ることはなかった。
階段を上ると、ローカの突き当たりに図書室と書かれた部屋を見つけた。
案内の時にはここへは来なかった。
まぁ今時図書室使ってるやつなんかいないよな
しかも土曜日だし、空いてるわけない
そう思いながらもドアに手を伸ばすと
スライド式のドアは静かに横に開いた。
空いてるんだ。まぁ図書委員とか読書同好会とかいるのかもしれないな。
そう思い中に進むと
窓の近くの席で、外を見たなが頬杖をついている人物がいた。
着崩すことなく着られた制服、色の白い肌に黒い髪、長いまつ毛、とても綺麗な目をしているのに、なぜかすごく切なそうに窓の外を見ていた。
俺はしばらくその人から目を離せなかった。
すると、その人が俺に気づいた。
俺と目があった
え、、涙?
その目からひとしずくの涙が落ちるのを確かに見た。
慌てて涙を拭き、その人が僕に静かに話しかける
『中学生?体験入学生の控え室は二階だよ』
そう言って、その人は図書室の出入り口に向かう。
『また戻って来るから、鍵開けたまま出てって』
そう言ってその人は寂しそうに笑って行ってしまった。
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「涼矢!どこ行ってたの?」
体験入学生の集まりは運動場の部活動を紹介していた。
合流すると、待ってましたと言わんばかりに女が寄って来る。
「あれ、バスケ部しいよ!」
女が指差す先には、校庭をひたすら走っているバスケの練習着を着た群衆。
体力が必要なバスケだから走り込みは当たり前か。
そう思ってふと上を見ると、さっきまでいた図書室の窓
ああそうか、、、、あの人は、、、この中の誰かを見ていたんだ。
そう思った瞬間。
あの人の悲しげな顔が頭をよぎった。
あの悲しそうな目、
あの人の笑った顔が見たい あの目を俺に向けてほしい
一目惚れ。
そんなものある訳がない。
そう思っていたのに、
俺はその日、俺じゃない誰かを見つめる人に
一目惚れした。
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