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とりあえず、入学式に出るとしましょう。
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一応第一志望にも合格していたが、何も知らなかった俺は間抜けにも"お嬢様"という魅惑のワードに惑わされてしまったのだ。全く馬鹿な話である。
そして冒頭に戻り、只今校門の端っこで立ち往生している。よほど不審に見えるのかチラチラ視線が向けられている。
大丈夫だ、安心しろ。いくら男にしては可愛いやつがいようと俺は男に興味は無い。
極力視線は斜め上に、桜を見ているフリをしてから仕方なしに校門をくぐる。
しかし、話に聞いていた通りこの学校の施設はかなり他と違う。まず校門のサイズおかしい。
なんなんだあれは、城の城壁かと思ったぞ。リアルでこんなん拝む時が来るなんて思っても無かった。
しかも、校舎の前に噴水がある……は、ちょっと待て、あれ校舎か!?
「予想よりもずっとでけぇじゃん。どう見たってヨーロッパの高級ホテルだろ…」
「マジそれな」
「っ、っぅお!?」
びびった! 本気でびびった! つか声出してたのか俺はっず!!
独り言を聞かれた上にそれに反応しやがった野郎の方を振り向けば、いかにもスポーツマンですって奴がいた。
そいつは俺と目が合うなり、丸くした目を緩めてへらっと気の抜けた笑顔を向けてきた。
「急にスンマセン。あの、もしかしてだけど、外部から来た人ですよね?」
「は、はぁ。そうですけど」
「俺もなんす! もし良ければ一緒に行きません? 一人だとちょっと不安で」
えへへ、と照れたように笑う。そういえばこいつの顔は入試の時に見た気がする。
入試はこことは別の場所で行われた。特待入試枠の教室でやたらそわそわしてた奴がこの男に似ている。いやもしかしなくても本人だ。
運が良い。顔も素性も知らない人間と一緒にいるよりもなんとなく覚えのある奴といる方が気分的には軽い。というかここで友人を作るチャンスである。断るわけが無い。
「もちろん。俺は朝塚 春馬です」
「原田 勝善(はらだ かつよし)です! あの、一緒のクラスになれたら嬉しいっすね!」
握手を求められ手を差し出すとブンブンと激しく振り回される。ハツラツとした笑顔が眩しい。
そして肩が痛い。
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