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「上出来」
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──コンクール当日
「シュン…かっこいい!」
「はぁ?」
相変わらずツンツンしているシュン。
でも今日のシュンは特別なんだ。
シュンのコックコートは黒だ。
日本校の指定カラーが黒らしい。
白い肌に黒が映え、華奢な体は
より絞まって見える。
「お前が見なきゃいけないのは俺じゃない、
この次のフランス大会だろ。」
…なんと男前なんだろう。
そして相変わらず自信たっぷりに言い切るシュン。
俺はシュンが自信満々な時の顔が大好きだ。
綺麗で、可愛い。
「さすがシュン。」
「はっ?俺を誰だと思ってんの?」
腕を胸の前で組んでドヤ顔をするシュン。
可愛いすぎるよね。
「じゃあ、シュンにおまじない」
チュッ
小さく、細い手を取り、
その指に軽く口付けする
一気に固まるシュン
「お前…後で覚えとけよ…」
クルッと俺に背を向け、調理台の方を向いたシュン。
俺は知っている。
その顔が耳まで真っ赤で、本当に可愛いことを。
でも、それを言ったら今度も
また1日中無視かもしれない。
それは困る
「それでは…制限時間は一時間です。
初めっ!」
合図と同時に響くたくさんの音
シュンは一瞬目を閉じ、5秒くらいしてから、
動き始めた。
これがシュンのルーティンらしい。
1週間の中でシュンがスポンジ担当、
俺がクリーム担当になった
手際よく行っていくシュン
どこにそんなに混ぜる力があるのか、
あっという間に生地をオーブンに入れた。
作っている時のシュンは綺麗だ
何も寄せ付けない感じがして
宝石を作るみたいに、丁寧に、
丁寧に1つ1つやっていく。
「エリック、」
「ok、任せて」
フワフワに焼き上げたスポンジは
微かにオレンジが強い。
そう、これこそが今回の狙いの1つ
シュンの指示通りの固さにした生クリームを
シュンはふんだんに塗り、ナッペが完了する。
ストライプに見えるその模様はとても
シンプルだけど、1つもずれていなかった。
最後にオレンジの色合いが強い生クリームと
先程の白の生クリームを交互に絞っていく。
シュンをチラリと見るとすごい集中力だった。
多分、周りの声も音も耳に入っていないのだろう。
「残り時間3分です」
慌ただしい声が響くなか、
最後に飾り付けを終え、手をふくシュン。
「──。」
ポツリと、何か呟いたけれど
聞き取れなかった。
多分、日本語かな
「終了です。審査員がそちらに
参りますのでそのままお待ちください。」
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