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18歳以上ですか?
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本当とマカロン
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自分をいい人に見せようとか、
みんなに優しくしようとすると、疲れる。
でもエリックはいつも本音ではなく、
いい自分を演じているのがなんとなく
わかっていた。それが素かもしれないし、
たまに困ったように笑うのも知ってる。
無駄に大人っぽかったことよも。
でも、今日はちゃんと、18歳年相応だった。
それが本当のエリックなんだ。
素のエリックを、知れてよかった。
だって、エリックはエリックだから。
どんなエリックでも、俺は良かった
「マカロン、作るんだろ。」
机の上に置かれた材料をクイッと顎で示す。
「よく、わかったねシュン」
「材料でわかる。」
「ねぇ、シュン。ここにいて?」
「言われなくても、そうしてた。」
少しぶっきらぼうに言うとエリックは
柔らかく微笑み、ボウルに紛類を濾し、
混ぜ合わせていった。
その手つきは丁寧で落ち着いていた。
よく考えれば、エリックがスイーツを作るのを
ちゃんと見たことがなかった気がする。
「…シュンは、【天才高校生ショコラティエ】
って言われるの嫌いだよね?…どうして?」
顔をあげないで急に訪ねてきたエリック。
この理由は誰にも言ったことがなかったけれど
エリックになら、言える気がした。
「…人ってさ、何かタグがあると
それしか見ないだろ。
ブランドのロゴと同じだよ。
【天才高校生ショコラティエ】ってくくりが
嫌なだけ。俺にはそのタグがついていて、
そのフィルター越しにみんな俺を見る。
俺は…そんなのじゃなくて、俺の、
俺の作ったチョコレート達を
見てほしいだけなのにな。」
少し自嘲気味に笑う。
本当にその通りだった。
「…俺と、同じだね。」
フワッ、と小さく微笑むエリック。
あぁ、そうかもな…。
心の中で、密かに答えた
紛類を丁寧に混ぜ合わせ、エリックが
小さく息を吐く。ここからゴムベラの面の部分を
生地に押し当てながらメレンゲを程良く
潰していく、 いわゆる「マカロナージュ」
マカロンのピエを作る1番大事であり
1番難しい作業だ。
丁寧に、丁寧にこなしていくエリック
「上手いな。」
「シュンに言ってもらえるなんて…光栄だな」
クスクスと可笑しそうに笑うエリック。
その笑顔につられて俺も自然と頬が緩む。
生地を絞りだし、オーブンに入れたエリックは、
次はホワイトチョコをベースに
ホワイトガナッシュを作り始めた。
「エリック、生地に着色してなかったけど」
「そう。ホワイトマカロン」
ホワイト、マカロン…?
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