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マカロンのキス
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ホワイトマカロン…?
聞いたことがない呼び名に疑問を覚えながらも
エリックの作業を見守った。オーブンから出した
マカロンはしっかりと綺麗なピエがついていて、
スポットライトのあたる舞台に出てきた
可愛らしいバレリーナのようだった。
それにさっきのガナッシュを挟む。
「シュン、マカロンに込められた
意味って知ってる?」
「…知らない」
作業の手を止めず、エリックは続けながら
綺麗に並べられた真っ白なマカロンの上に、
軽く金粉をかける。
「マカロンには
『特別な人』って意味があるんだ。」
マカロンの1つを手に取り、
渡してくる。綺麗な、まだほんのり暖かい
白いマカロンを口に運ぶ。
最初はサクッとしていて、バニラエッセンスが
よく効いていた。中はしっとりしているが、
ホワイトガナッシュが上手く引き立てられている。
甘いだけじゃなくて、その奥まで深みがある
「…おいしい」
心からそう思えたから、素直に言ったら、
エリックが驚いたように俺を見た。
「シュンが…おいしいって!」
「…はぁ?お前俺をなんだと思ってんだ。
俺だっておいしいものはおいしいって言う。」
そんな俺にニコニコと上機嫌に笑いながら
洗い物をするエリック。なんか腹立つから
その頭をひっぱたいてやろうかと思った。
「でも…よく白なんて思いついたな。」
エリックは、少し黙り込み、
洗い物を終え俺の隣に来た。
「シュンがいてくれたからかな?
今日は今までで1番上手くできた。」
「俺?」
「シュンのイメージは真っ白なんだ。
何色にも染まらない、真っ白な人。
それにシュンは、俺にとって特別な人だから。」
だから、白いマカロン。
特別な人。その響きに頬が熱くなる。
「…ばかじゃねーの」
「あ、照れてる?」
「照れてねーし」
「シュンかーわいい。」
クスッとまた、いつものようにからかってきたエリック
「おい!かわいいって言うな、…ッ!」
───チュッ
その言葉は塞がれた。
エリックの口によって。
一瞬で離れた二人の唇
「…ありがとう。シュン」
ムカつくくらい綺麗に微笑むエリックに
ドキッとする。
それと同時に頭が真っ白になる
ただ、エリックの唇は
甘い味がした。
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