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アルティジャーノ
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ルイが持っていたのは、紛れもない
【パティスリ・ワールド・アワード
~フランス大会】の繊細が
書かれた封筒だった。
どうして、ルイが持っているんだ?
その考えは、顔を見合わせた
エリックも同じようだった。
「これ…読んだ~?」
ニコリと微笑みながら封筒を振るルイ。
実のところ封を開けてさえいない。
思わずチラッと違う方向を見ると、ルイが
「うん、予想通り読んではないと思ったよ~。」
「それじゃあ私が…」
勿体ぶるようにヒラリと封筒をはためかせ、
手で開けていくゼン。一々動作が多い。
【──この度は次なる大会への参加、
おめでとうございます。今回のフランス大会の
テーマは《はじまりの信仰心》
尚、日時等詳細は下記の────
日付 1月~
参加資格 大会テーマに応じた
各校代表生徒4名
…皆さまのご健闘をお祈りしています】
得意気な顔で読み終えると手紙を
封筒に戻したゼン。
…ん?まてよ、
「各校代表4名?」
どういうことだ?
全く話が掴めない俺とは反対に、
エリックは気がついたようにルイを見た
「今回の校内コンクールは確かに
パティシエ科の1位は俺とシュンだったけど
…アルティジャーノ科の1位って…」
「そう、俺たちだよエリック。」
頬杖をつき、ニコリと微笑むゼンと
柔らかくクスクスと笑うルイ。
どうやら俺だけ状況が読み込めていらしい。
なんだよアルディージャノ科って
「シュン、俺すっかり忘れてたよ…
俺とシュンが今専攻している学科って分かる?」
「パティシエ学科だろ?」
「そうだね。その中でも俺はパティシエ、
シュンはショコラティエを目指してるよね。」
なんでそんなわかりきったことを聞くんだろう。
疑問に思っていると、エリックが
ホットチョコレートを一口飲み、
また俺に向き直った
「じゃあ…ルイとゼンは何を
勉強しているか分かる?」
何を勉強しているのか…
顔を上げるとゼンと目が合い、
考え込んでいる俺にニコニコしながら手を振る。
それはもちろん無視をする。
ルイとは学年が同じでも何故か教室と
取っている授業は違った。
それはどうしてだ?
「解答が遅いよお姫様。考え込むのはナンセンス」
「うるせーよ。」
まあまあと俺達をなだめながら
ルイが説明してくれた。
「シュン、僕達はねぇ、
アルディージャノ学科を専攻しているんだ~」
アルディージャ…?
日本校にはなかった学科名だ
「つまりね、ルイはブーランジェ、
ゼンはコンフィズールを目指しているんだ。」
補足するように付け足すエリック。
ブーランジェはパン、及び菓子職人
コンフィズールは飴細工、ジャム、
砂糖菓子職人のことだ。
つまり…
「2つの学科からの1位同士でチームを
組んで、今度のフランス大会は
チーム戦になるってことか?」
「さすがお姫様。察しがいいね」
「おい…お姫様ってやめろ」
なんだよお姫様って。
ゼンは俺をジッと見ながらニコッと微笑む
本当に行動が読めない
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