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チョコレートの指先
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***
1日の終業のベルと同時に教室を
出ていく生徒達。その1番最期に、
群れずにただ1人歩いていく背中があった。
【ノエル・オ・ショコラ】
彼らしいブッシュ・ド・ノエルだった。
学科テストは100点満点。俺は95点。
そして今回の1位は98点だった。
誰、とは言わない。
俺は急いで、今教室を出ていった
彼を追いかけた。
「シュン!」
「…」
隣に並んだ俺をチラリと見て、
何も言わずに歩き続けるシュン。
…多分、テスト前のやつで怒ってるのかな?
「シュン…怒ってる?」
「怒ってない」
「怒ってる!」
「う、ざ、い。」
クスッと思わず笑みがこぼれる。
だって、シュンは本当に怒っていれば
無言になるって俺はもう知っているから。
今はまだ、怒ってないらしい。
まだ、ね。
「ごめんね、シュン。窓の外を見てる
シュンが本当に綺麗だったんだ。」
「はぁ?」
俺がそう言うと立ち止まり、
訳がわからない、という顔で見上げてくるシュン。
「シュンは、雪が似合うよね」
シュンの目にかかっている前髪を
払おうとすると「触んな」と、ピシャリと叩かれる
「本当、さっきといい
恥ずかし気のないやつだな…」
「どうして?綺麗なものは純粋に綺麗だって
言ったんだ。」
「男同士なのに、変に勘違いされるだろ」
そう言うと、また歩き出したシュン。
俺は咄嗟にその手を掴んだ。
「シュンとなら、変に勘違いされても、
なんだっていいよ。」
俺はそんなの気にしないから
チュッ…
掴んだ手は、冷たかった。驚いているシュンを
よそにその細く綺麗な指先に口付けをする。
「ば、ばかじゃねーの⁉ここ廊下だろ!」
「シュンの指、やっぱり甘いね」
「話を聞けよ!!!」
シュンにゲシッと膝の裏を蹴られ、
ガクッと倒れ込む。シュンはそのまま
プンプンしながら歩いて帰ってしまった。
「本当に甘いのに」
さっきの、ブッシュ・ド・ノエルで
扱ってたハイミルクチョコの味がした。
甘くて、溶けてしまいそうな味
…俺もチョコレートみたいにシュンに、
溶けてしまいたい
なんて言ったら、またキミに怒られるんだろうな。
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