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目で見て、触れて、感じて
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さっきまでお城の外観を眺めていたのに
シュンは急に中に入ってしまった。
まるで誰かを追いかけているみたいに
「あ!シュン!」
きっとシュンは夢中になると
周りが見えなくなるタイプだと思う
こうなったのは今日が始めてではないしね。
校内スイーツコンクールの時も、
シュンはたった1つのことしか見てなかった。
目の前の柑橘類【マンダリンオレンジ】から
どんなスイーツを生み出すか。
シュンは集中すると人差し指を曲げ
唇に押し当てる癖がある。
その時もシュンは何も言わずにじっと
考える横顔が綺麗だった。
──今も、美しく手入れされた雪の中庭を
歩きながら、色んな角度から写真を撮っていた
「エリック~」
「ルイ!」
そのシュンの後ろ姿を見ているとトコトコと
ルイが、その後ろからゆっくりゼンもついてきた。
シュンが中庭をじっと見てるのを確認すると
ルイは嬉しそうに微笑みながらこう言った
「シュンはゆっくり見るタイプなんだねぇ…
じゃあ別れて行動しようかぁ。
3時間後に正面の大きな門に集合ね」
「へぇ、坊っちゃん、ここが正門じゃないのー?」
ゼンがそう訪ねるとルイは首を横に振り
城の反対側を指差した
「違うよぉ。向こう側が正面。
ここも綺麗だけどここはまだ裏門だよぉ」
そうだったのか……これもシュンに教えなきゃね。
「だってさエリック。ほら、早く行かないと
あのお姫様一人でどこまでもいっちゃうよー。」
「あ!シュン待って!じゃあ、3時間後に!」
もう先に行っていたシュンを追いかけ、
そこでルイとゼンと別れた。
「シュン!」
シュンを追いかけ、グイッと腕を引く
「え、なに?」
そう言って俺を見てキョトンとしているシュンは
俺が今どれくらい心配してたことを
しらないんだろうな
「シュン一人で行っちゃうから…心配した」
「あー…悪い。」
それでも今度はお城の外観に目を奪われている
シュンを見て思わずクスリと笑みがこぼれる。
芸術への追及心……
本当に、シュンは天才なんだって思わせる。
「エリック、早く中行くぞ」
急かすようにクイックイッと袖を引っ張るシュンも
可愛いけれど、今のシュンの目は
キラキラしていて、とても綺麗だった。
「OK、中は撮影禁止だって、シュン」
「目で覚えるに決まってんだろ」
当たり前のように、今日も自信たっぷりに
言った彼が愛しくて思わず微笑んでしまう。
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