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可憐な許嫁
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部屋に流れる謎の空気に女の人のお花畑オーラが
調合されて不協和音を生み出している
その空気をひとまず破ったのがエリックだった
「シャーロット、一度降りてもらえるかな…」
「あぁ!ごめんなさい!私ったら…」
シャーロット、と呼ばれた女性は大人しく
エリックの上から退いた。
てことは、この人がエリックの婚約者か…
栗色の髪を綺麗に縦に巻き、
世界的有名ブランドの服で全身を包んでいた。
可憐に微笑む姿は気品がありさすが
お嬢様だな、って思った。
「シャーロット嬢、いらっしゃるのは
2時からと、お聞きしましたが?」
少し怒気を含んだエリックの親父さんの声。
チラリと時計を見ると、確かに針は
まだ12時を指していた。
「だって私…待てなかったの。6年ぶりに
貴方が帰ってくるって、おばさまから
お聞きしたんですもの」
そう嬉しそうに言うとスッと自然にエリックに
腕を絡ませるシャーロットに、
少しチクリと胸が痛んだ
二人が並んでいるのを改めて見ると…
確かに美男美女でお似合いだった。
幼い頃からの許嫁と聞いているし
もしかしたら…俺が場違いなのかもしれない。
来ない方が良かったのか?
…でもエリックから離れてほしい。
なんて矛盾を考えてしまう自分が惨めで嫌になる
エリックは、一瞬ためらった後、
シャーロットの手を優しく振りほどいた
その行動に少しだけ気が晴れたなんて
言った俺は性格が悪いと思う。
「シャーロット、ありがとう…
今日は来てくれて。君にも紹介したい人が
いるんだ」
「なぁに?」と無邪気に微笑むシャーロットに
エリックは俺を手で示しにこやかに紹介した
まて、まてまて、
「彼女は…俺と同じ学校の人で、
スガワラって言うんだ。」
バカだろこいつ
絶対に今言う空気じゃない
さっきまで悪かった空気がバカエリックの
せいで更に悪化した。急に張り詰めた
シャーロットの笑顔は女がよくやる
典型的な愛想笑いだった
「…私、召使いの方かと思ったわ。だって…ねぇ…」
俺を上から下まで眺めてからさっきの無邪気な
微笑みとは違い、クスクスと意地悪そうに
笑ったシャーロット。
多分こいつは、俺が苦手なタイプの人間だだ。
エリックは少し顔を顔を強ばらせ、
シャーロットに向かい合う
「シャーロット、実は彼女と俺は「ねぇ
エリック、私貴方にお話したいことが
たくさんあって…」
エリックの言葉を遮ったシャーロットの
態度でわかる。[それ以上話すな]そう物語っていた。
「ゴホンッ」
大きな咳払いの主は扉の前で俺と
シャーロットを交互に睨んだ。
今の今まで忘れていた人物
「お二人共…私はエリックただ1人と
話したいんだ。是非とも、ご退出願いたい。」
「でも、おじさま!」
自分はここに煎る権利がある。
そう言いたげな瞳。
それでもシャーロットはキッとエリックの
親父さんに睨まれ、黙り混んだ。
そして、そのまま二人で扉の外に出される。
二人に流れる沈黙
「あ、あなたのせいよ!」
ビシッと俺を指差し顔を真っ赤にさせ、
怒るシャーロット。
さっきまでの可憐な少女はいなかった
変わりに【女】をむき出しにした
女豹がいるだけだった。
「私、1度帰るわ!2時にまた来ますから。
貴女もとっとと帰りなさいよ!
ここは貴女のような下級の庶民が
出入りしていい居場所じゃないのよ!」
今俺がいつも通り男の格好で、
シャーロットが男だったら迷いなく
ぶん殴っていた。
でも今はダメだ。
相手は男ではないし、俺も今一応
男ではない設定だ。俺は、怒りながら屋敷を
後にするシャーロットを何も言わずに
見送るしかできなかった。
エリックのためだ。
エリックのためなんだけど…
「ムカつくっ…」
久々に口からでたのは日本語での悪態だった。
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