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冷たい瞳
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「マコトって、誰…?
ねぇ、シュン待って!逃げるの?」
背中越しに言われピタリと止まったシュン、
肩越しに首だけ振り返り、俺を睨む
黙れ、
鋭い、黒い瞳がそう言っていた
「もう、ほっとけよ…」
ボソッと呟かれた言葉と、
また扉に向けて歩き出すシュン
シュンが、照明の届かない所に立った瞬間、
何故か、一生このままな気がした
暗い、影の中で…シュンは
だから
「───ッ!答えてよ…答えろよ!!
シュン・スガワラ!!!」
暗がりに叫ぶようにそう言っていた。
今、今じゃなきゃダメなんだ
そう、思った
のに。
次の瞬間
ダンッッッ!!
硬いものに柔らかいものがぶつかる鈍い音
シュンが、腕で壁を殴った
驚いてシュンを凝視する俺達
シュンは、ゆらりと壁から離れ、
おもむろにジャケットを脱ぎ、
黒いカーディガンの姿になった。
3月下旬で、室内は暖房が効いているから
すこし暑いくらいだからだろうか
「───。」
チッ、と舌打ちの後に聞こえた
俺のわからない言葉…きっと、日本語で
何か呟いた後、暗がりからまた、
俺たちのテーブルがある照明が当たる
明るい所にゆっくり歩いて来た時のシュンは…
違っていた
「いいよ…お望み通り教えてやるよ」
乱暴に椅子を引き、座ると、
グイッとネクタイを緩め、ボタンを外し、
足を組むシュン
その拍子に見えた、黒いチェーンのネックレス
俺が、あげたやつ…付けてくれてる……
最近のシュンからは考えられないことに唖然とする
攻撃的な眼差しと、相変わらず無表情のはずなのに
その表情からは冷酷さしか読み取れなかった
本当に……シュン?
そう思うくらい
「本当の、俺を…教えてやる。
俺がココに来るために何をしてきたのか。」
フッと上がった口角
それは…まるで、自分自身を嘲笑うような、
そんな微笑みだった
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