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side 西谷夕
中学の時よばれた強化選手合宿で初めて田所綾斗をみた
今とさほど変わらない髪形で今より幼さがある女顔そんな顔の男
俺は、個々の選手にあまり興味はない
誰がどの学校とかそんなの俺にはよく分からない
ただ、強い選手のボールと取るのは楽しい
だから、強化合宿は嫌いじゃなかった
当時、彼はセッターだったんだとおもう
けど、リベロの練習もすればアタッカーの練習もしていた
変わった選手だと思ったの確かだ
それでも、名前を知りたいとは思わなかった
全員が彼を気にしていたから
すごい選手なんだろうとは予想がついた
けど彼は、孤高だった
すごい選手ってのはちやほやされているか誰も寄せ付けない強いオーラを放っている、そんなイメージだったから彼のあの空気は異様だった
決して誰も寄せ付けないという空気でもないのに誰も近づかない
監督やコーチさえも
特別中がいい人も悪い人もいない
そんな感じだった
しかし彼にはそんな事関係ないのだろう
誰よりもバレーボールに打ち込んでいた
この合宿で俺が田所綾斗と口を利くことはなかった
高校に入ったとき、沢山の新入生の中に見たことがある顔があった
信じられなかった
彼が自分と同じ学校に居ることが
印象的だった彼の顔はよく覚えている
だから声をかけた。名前はその時知った
知らない顔をして自分がバレー部だといえば彼は少し寂しそうに
『いいなバレー。俺、もう部活はおろか体育もできないから』
そう言った
その綾斗が今、俺たちと歩いている
仙台市体育館を
「綾斗!なんかお前注目されてるな!」
「西谷が名前呼ばなけりゃ誰も俺だってわかんねーから呼ぶな」
少し誇らしかった
ここに綾斗をつれてこれた事が
「なんだ、田所ー。びびってるのか!」
龍が綾斗の過去何か知っているかは知らない
けど、今はもう仲間だと思ってくれている
それだけでいい
「田所綾斗」
そんな中、牛島若利が綾斗に声をかけてきた時の綾斗の顔が忘れられない
目を見開き、下唇を少しかみ締めたような苦痛な表情
俺がバレー部だといった時と同じ顔
牛島と別行動すると言った綾斗の背中に俺は顔を歪めた
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