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3日目のエキシビジョンマッチ
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朝、みんなより早く起きてジョギングに向かう
昔はランニングだったが、今はこの足だ
みんなのように早いジョギングではなく体を起こすための散歩に近い
朝の清々しい空気を吸い伸びをした
今日の最終試合で対梟谷とのエキシビジョンマッチがある
緊張というか信じられない
俺がまたあの舞台に立てるだ
思わず頬の筋肉が緩んだ
「おはよう。田所さん」
歩いていると反対から赤葦が走ってきた
相変わらずのさん付けの赤葦に笑ってしまう
「おはよー赤葦」
「あれ?先に木兎さんいるはずなんだけど知らない?」
さすが強豪、長期合宿も慣れっこで練習前にトレーニングですか
「見てないよ」
「じゃぁいいか」
「いいのか?」
「まぁ、事故にさえあってなければ大丈夫でしょ」
「そっか」
赤葦が近くの階段に座ったので俺も隣に腰掛けた
「田所さんもランニング?」
「いや散歩かな?」
「なんで疑問系?」
「気にするな」
しばらくの沈黙の後赤葦が口を開いた
「今日の試合楽しみだね」
「そうか?」
「田所さんは楽しみじゃないの?」
「セッターやるの久しぶりだから緊張してる」
「え?練習は?」
「してないよ。俺まだ選手じゃないからみんなの練習の邪魔はできないよ」
「それで今日やって大丈夫?」
「負ける、かもね」
ずっと練習してきた奴とそうじゃない奴
どちらが優勢かなんて、火を見るよりも明らかだ
けどそれでも俺は・・・
俺は立ち上がり赤葦をゆっくりと振り返りながら指差した
「けど、やるからには勝ちに行くよ。天才なめるなよ」
「それ自分で言う?」
赤葦がくすりと笑った
「遅いぞ!あかーし!」
階段の上から木兎さんの声がする
「今行きます」
「あー!田所綾斗!あかーし!またお前!」
木兎さんはすごい勢いで降りてきた
瞬きするほどの速さで来た木兎さんは俺の腕を捕まえる
「ついに捕まえた!田所綾斗!」
お、おう
「俺、木兎光太郎。3年、梟谷のキャプテン!」
朝から元気だこの人
「木兎さんその情報は多分、田所さんも知ってると思いますよ」
「え?そうなの?」
赤葦の言葉に俺を確認するように覗き込んできた
「はい。存じてます」
「じゃっこれからよろしくぅ」
木兎さんは俺の腕を離し、隣にいた赤葦の肩に腕を回し来た階段を戻っていく
「今日の試合、楽しみだな」
木兎さんは振りそう言った
背筋に冷たいものが走りぞくりとする
あれは獲物を狙う捕食者の目
「生半可な気持ちだと持ってかれるな」
俺は思わず舌なめずりをした
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