アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3
-
試合は相変わらず梟谷優勢で進んだ
それでもみんなの調子は心持いい
多分、この合宿で一番いい
「なぁ綾斗。聞いていいか?」
パイプ椅子に座っている俺の方を見ずに鵜飼さんが俺に声をかけてくる
「なんですか?」
「お前は梟谷にどうやって勝とうとしたんだ?」
エキシビジョンマッチ、あの時俺は確かに勝つつもりでいた
けど、この方法はあまり言いたくない
「例えばなんですけど、相手チームのパーセンテージを下げれるって言ったら引きますかね?」
「?どういう意味だ?」
「意味的にはそのままなんですけど。あー、及川さんはチームの100%を引き出す事が出来るセッターですよね」
派手なセッターには憧れる。目がくらむ。
けど俺にはそれが出来なかった、才能がなかった
だから、俺は自分を最大限生かせるプレースタイルを見出した
「対して俺は、相手チームのパーセンテージを抑える事を重視しているセッター。とでもいえばいいですかね」
鵜飼さんは黙っている
「だから俺のバレーには、膨大な相手データが必要でした。綻びみたいな物を見つけるために」
穴のないプレーなんてない
万能なプレーヤーなんていない
そう考え、俺はこの方法を取った
実際、それは確かだった
けど、ある一定のレベルまで行けばやはり超えられない壁にぶち当たる
所詮俺はその程度のプレーヤーだ
「なんていうかよ。それは相手に気持ちよくプレーさせないって事で合ってるか?」
「まぁ平たく言えば」
そう言うと鵜飼さんは俺の頭に手を置いた
「お前がどうやってそれをやってのけてたかは聞いても俺には多分わかんねぇけど。そんな顔して話すほど恥ずかしいプレーだったか?そうじゃねぇだろ」
鵜飼さんは俺の頭をポンポンと優しく叩く
「少なくても俺はそうはおもわないけどな。ブロックもレシーブも相手に気持ちよく打たせない方法の一つにできるなら、トスにそれを見出す奴がいても不思議じゃない。自分のプレーに胸を張れ綾斗」
「うっす」
俺は小さくそう言うと鵜飼さんにくしゃりと髪を掴まれた
side 赤葦京冶
ちらりと田所さんの方に目をやればコーチの人となにやらいい雰囲気に見える
「あかーし!俺によこせ!」
少し熱くなり始めた木兎さんがボールを要求する
嫌な感じだ
それにさっきの田所さんをみてから俺もなんとなく試合に集中しきれていない
木兎さんのサーブ
「俺のサーブで突き放ーす!!」
「木兎さん、冷静にですよ」
「冷静だっ」
冷静な人はそんなに叫ばないんだよな
木兎さんのサーブはネットに引っかかった
「チックショォオオオオ!スマァアアン」
この後俺は田所さんの事を考えている暇などなくなった
厄介な先輩のしょぼくれモードが発動したせいだ
この人これさえなければ3本の指にきっと入るのに
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
118 / 136