アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
5
-
烏野が帰ってすぐに立花さんの車が到着した
「ほら、早く乗れ。時間がねぇー」
「はーい立花さん」
クロさんが俺の荷物を運び、車につんでくれる
「ありがと、クロさん」
「おう」
乗り込む前に俺はみんなに別れを言うため振り返ると、いつの間にか俺の目の前にいた研磨くんにぎゅっとハグされた
「おふぁ、研磨くん?」
思わず俺はハグしかえす
これはあれだ。条件反射というやつだ
研磨くんはさっきよりも強く俺を抱きしめる
「じゃぁね綾斗。俺とのこと考えておいてね」
研磨くんは俺の耳元でそう呟くとすぐはなれニコッと笑う
「じゃぁね」
そして少し恥ずかしそうに手を振った
「田所さん」
研磨くんを押しのけるように俺の前に誰かが現れる
赤葦だ
その顔は少し怒っているのか眉間に皺がよっている
「じゃーな、赤葦」
気にせず俺は、赤葦に向かってにっと笑う
少し気まずそうに顔をしかめたあと赤葦は口をあけた
「東京でのリハビリ、体育館が必要なら梟谷に来てください。もう監督とコーチにも許可は取ってあるので」
「おう、わかった。サンキューな」
「お?なになにぃ?」
声とほぼ同時に赤葦の後ろから木兎さんが顔を出す
「田所綾斗、今度うちで練習するのか!じゃ!勝負だな!」
「今度も負けませんよ?木兎さん」
「のぞむところだッ!」
ニッシッシッと笑う木兎さんによりいっそう赤葦は眉間の皺を深めた
「ほら、綾斗。時間がないんだよ。俺忙しいの?そんな中お前を迎えに来てるわけ、わかる?」
相変わらずの早口で俺は立花さんにまくし立てられた
「ごめん。立花さん」
「わかったなら早くしろ」
俺は挨拶もほどほどに立花さんのインパラ67年式のグリーン色の愛車に乗り込んだ
俺が乗り込むとすぐに立花さんは車を出した
「病院に着いたら、すぐに手術の準備だ。準備出来次第始める。両膝、あと右ひじ。三箇所いっぺんにだ。俺と俺が信頼している医者で同時に手術する。安心しろ、目が覚めたらお前の怪我は治ってる。けど」
車は赤信号で止まった
「お前の戦いはそこからだ。1週間は痛みとの戦いになる。痛みが治まったら今度は肉体作り、まぁそこらへんは遼子に頼んであるから安心しろ」
「あー遼子さんかーなら安心だねー」
俺は昔会った筋肉隆々のオネェ、立花さんの恋人を思いだす
信号が青に変わり、また走り出した
「それより綾斗。お前、俊彦さんに似、いや、なんでもない」
立花さんはそれ以上口を開かず、まっすぐに前をみて車を運転し続けた
としひこ。俺の親父と立花さんは昔付き合っていたことがある
俺の両親は今では仲良く海外に行くが、病院同士の政略結婚で結ばれた
その時親父と付き合っていたのが立花さん
たぶん、今でも立花さんは親父の事を
俺はそれ以上考えるのを止めた
車は立花さんの病院に着き、そして俺の手術は無事成功した
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
128 / 136