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息をする少年。
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胸が締め付けられる。
梓に、あんなこと教えた叔父に対する怒りが収まらない。
けど、それよりも、俺にも、その叔父と同じことをしようとしたことに寂しさを覚えた。
よく分からない。なんで、こんなに胸が締め付けられるのか。
分からない…。
「けど、俺はそういうこと梓にしてもらおうと思って一緒にいるわけじゃない」
「浩太さん…」
「そんなことしなくても、俺は梓を許すし、梓と一緒にいたい。梓が、ここで安心できるなら、好きなだけ居て」
「でも、僕…」
「一緒に、いっぱい出来るようになればいい。だから、もう二度と、あんなことしないで」
俺は、叔父じゃない。
俺は、何もいらないから。
俺には、そんなことしなくていい。
そっと、梓を抱きしめる。
少し驚いたように目を開く梓はおどおどと戸惑っている。
激しく動き回るわけではないにしろ、きっとそうなんだろうと、何と無く想像出来る。
今、この腕の中にいる梓が、愛しくて、愛しくてたまらない…。
「いても…いいん、ですか…?」
ぎこちなく梓の腕が俺の背中を包む。
「いいんだよ。俺が、居て欲しいの」
「でも、また…お、皿…割っちゃ、う…」
「いいよ」
「洗濯物…飛ばされちゃう…」
「いいよ」
「僕…っ」
「もう、さ…いいじゃん。ありがとうって、言いなよ。それだけでいいんだよ。梓」
頬を撫でると、梓はいつもより柔らかく顔をほころばせた。
「…あ、っ…あり、がとう…」
初めて、梓の笑顔を見た。
安心したのか、何なのか分からないけど、梓の目にはたくさんの涙が溜まっていて、収まりきれず零れ落ちる。
それは、息を飲むほどの衝撃で、吸い込まれそうな程綺麗で、思わず見惚れてしまった。
お前は、こんな顔をして笑うんだな。
叔父は、知ってるのかな。
知らなかったらいいな。
あー。
そっか。
俺は、梓に恋したんだ。
だから、こんなにも、梓が笑っただけで泣きそうなくらい嬉しい。
ここにいて、そばに居て。
その笑顔をずっと俺に見せて欲しい。
そう、気づいた時。
お互いの唇が重なった。
それが、梓との初めてのキスだった。
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