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愛らしい少年。ー梓の場合ー
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あれから少し家事ができるようになった。
浩太さんは僕にいろいろ優しく教えてくれるし、僕、少しは役に立てるようになったかな?
部屋の中を眺めながら、浩太さんのものと思しき指輪やネックレスの入ったケースを見つけると壊さないように慎重に取り出し、指輪をコロコロと机で転がし持て余しながら考えた。
その指輪を試しに何処かの指にはめてみようか、そう悩んでいるうちに別のものがその考えを吹っ飛ばした。
あ、そうだ浩太さんがバイトから帰ってくるまでに何かしておいてあげようかなっ。
そうしよう!喜んでくれるかな…?
指輪をまた慎重にケースに戻すと、腕を組みながら悩む。
んー。何があるかな…。
キョロキョロと当たりを見回すと、僕は台所に視線を止める。
…よしっ!
台所に行くと、バイトに行く前に浩太さんと食べた夕飯の食器が重なっていた。
洗い物…。
浩太さんが、お皿割らないようにっていつも一緒にやってた。
一人でやるのは、すごく久しぶりだ…。
出来るだろうか…。
ううん。やろう。
それで、浩太さんに褒めてもらう!
そう意気込んで腕まくりをし、食器に手をかける…。
パリン…。
「あっ…」
嘘…。やだ、どうしよう…。
浩太さん…に、また…迷惑かけちゃった…。
始めたばかりで出鼻をくじかれたような気持ちになりペタンとしゃがみ込む。
視界が歪み、ぼやける。
駄目だ。
次、気をつけよう!メソメソしちゃダメだ!
ゆっくり立ち上がると、ぺちんと両の頬を叩いて気合をいれ、またお皿洗いを再開した。
「ただいまー」
帰って来た。
「おかえりなさい」
「…あれ?お皿洗ってくれたの?」
「…ぼ、僕も、何か…したくて…」
「そっか、ありがとう」
浩太さんはあったかい笑顔を僕に向けて優しく頭を撫でてくれた。
けど…。
「けど、その…」
モゴモゴと言いどもり、チラッと隅に寄せておいた割れたお皿に目をやる。
気まずそうに浩太さんを見ると、困ったような、可笑しそうな、よく分からない顔で笑った。
「あの…ごめんなさい」
「いいよ。それより怪我してない?」
そっと手をとって浩太さんは僕の手の怪我を探すようにいろいろな角度から手を覗く。
「だ、大丈夫…です」
それが、妙に恥ずかしくて思わず顔を背ける。
良かったと笑うと、浩太さんは荷物を置いて割れたお皿の破片を拾い集めた。
危ないからと僕は手伝わせてもらえなかったけど、浩太さんが僕の顔を見て、ゴミ箱持ってきてくれる?と、言ってくれたので、喜んでゴミ箱を運んだら、ありがとうと言ってまた笑った。
胸がホカホカする…。
だけど、きゅうって少し苦しい…。
心地いい感覚…。
もっと、もっといっぱい浩太さんといたいな。
ずっと、浩太さんと一緒がいいな…。
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