アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
狂おしい少年。
-
日曜日。
昨日の夜から、梓は目に見えてそわそわしていて、とても可愛かった。
俺も、今日を楽しみにしていたので、同じ気持ちだと感じて嬉しくなる。
そんなことを考えながら、トーストを頬張っている梓に笑いかける。
ふと、目が合うと、ぼっと顔がゆでだこの様に赤くなり、さらに頬張る。
…可愛い。
朝飯を食べて、洋服を着替え、梓に急かされる様に家を出た。
最近は、梓も近所のコンビニやクリーニング屋さんにお使いに行ってくれるようになったが、やはり外出という外出がが久々なのか、とても機嫌がいい。
電車に乗って、大きなショッピングモールに向かう。
電車から見える流れる様な景色に目を奪われている梓に、クスッと笑みが漏れる。
こうして見ると、高3よりも精神年齢低いんじゃないだろうか?と、思えてくる。
俺が一人でふふっと笑っていると、梓は不思議そうな顔をした。
電車を降り、ショッピングモールにたどり着くと、さらに梓の足取りは軽くなる。
俺の前をどんどんと歩いて行く。
そして、少しすると振り返って俺がいないことに気づいて焦って戻ってくるのだ。
一通りを見て回り、白いVネックの長袖と、シンプルなジーパン、それと合わせるようにシンプルながらもおしゃれな靴を買った。
こんなにたくさん。と、申し訳なさそうにしていた梓だが、俺がそんな事ないと首を振ると、ありがとうございますと微笑んだ。
ひと段落した俺達は、レストランが並ぶ階の、端の方にある小洒落たカフェに入った。
お昼時だったが、皆他のレストランでガッツリ食べるのか、あまり混みすぎず、ラッキーだった。
景色のいい窓際に通されメニューを貰う。
メニューを眺めながら、うーんと悩んでいる梓に、何に悩んでいるのかと尋ねると、早々に注文するものは決まっていて、後ろの方にある子供向けの間違えさがしに奮闘していた。
声にならないほど笑がこみ上げお腹を抱えていると、それに気がついた梓は、お腹が痛いのかと心配そうに訪ねた。
大丈夫と言って、頭を撫でると、安心したように胸を撫で下ろす。
俺も注文するものを決めたところで店員さんに声をかけ、注文をした。
俺はサンドイッチと、コーヒー。
梓はカニのソースがかかったパスタと、メロンソーダ、食後にフルーツタルトを頼んだ。
「…おいしい…」
あまり、ケーキは食べないのか、感慨深そうに呟くと、味わう様にゆっくりとたいらげ、しっかりと両手を合わせた。
それに習って俺も手を合わせる。
「ごちそうさまでした」
その後も、ぶらぶらといろいろなところを見て回った。
ちょうど、洋服屋だがアクセサリーも売っているような店で梓は立ち止まり、並べられたシルバーアクセサリーを眺め、端に置かれた指輪を手にとった。
どうしたのかと尋ねると、ぱっと手を離してなんでもないと他の服に目を向ける。
俺は、何と無くそれが気になって、梓にプレゼントをして驚かそうと、その指輪を購入した。
帰り道電車に揺られながら梓は今日の事を楽しそうに話した。
「また行こうな」
そう言うと、子犬の様に見えるはずのない耳をピンと立て尻尾を振る。
「はいっ!」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
29 / 87