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天使な君。
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叔父さんは僕をベットに寝かすと、一息つくように一服していた。
すると…。
ピンポーン…。
インターホンが鳴る。
ちらっとベットの脇に置かれた時計に目を向けると、針は夜の11時を指していた。
こんな時間に誰かが訪ねてくるなんて、珍しいなと、ドアの方に目を向けると、叔父さんがドアの方へ向かって行くのが見えた。
「はい、どちら様?」
覗き穴を覗きながらも、既にドアの部に手を伸ばしドアの向こう側にいる相手に声を掛ける。
「あ、えっと…和泉です」
微かに聞こえてくるドアの向こうの声を聞くと、電流が走ったように体がピクリと動く。
叔父さんは、ちらっと僕の方に目をやると、ゆっくりと、半身で部屋の中を隠せる程度だけドアを開けた。
あ……。
この声……。
「や、夜分遅くにすいません…」
「いえ、構いませんよ。ですが、すいません。梓はもう寝てしまいまして」
胸が熱く、苦しくなる。
それなのに、胸から噴き出す様な暖かなこの感覚。
来てくれた…。
会いに来てくれた…。
行きたい…。
会いたい…。
「えっ、あ…そう、ですか…」
声のトーンが落ちて、少し落ち込む様な声が聞こえる。
浩太さん……。
浩太さん……っ。
「浩太さん…っ!」
「…っ!?梓……?」
帰らないで…。
気づいて欲しくて思わず出した事もないほどの大きさで浩太さんの名前を呼んだ。
相変わらず両手は手錠に繋がれていて、会いにいきたいのに、抱きしめたいのに、それが叶わない。
浩太さんが帰ろうとしたのか少し閉まり始めたドアの隙間から、浩太さんが僕を呼ぶ声がする。
「浩太さん…」
僕、寝てません…っ。
起きてます…っ。
だから、お願い…。
おいて行かなで…っ。
僕も連れて行って…。
カシャンと、金属のこすれる音が忙しなく鳴る。
「…梓?」
中の様子に違和感を覚えた浩太さんが怪訝そうな声で僕の名前を呼んだ。
何が起こっているかわからないけど、浩太さんに会いたい…。
会いたい…。
会いたい…。
「…助けて…」
それが、どれ程の大きさで発せられた声だったのか、僕には到底分からなかった。
けれど、その言葉が発せられた途端に勢いよく玄関のドアが開いた。
驚く叔父を押しのけて、浩太さんが中に入ってくる。
ベットと繋がっている僕の姿を見て浩太さんは目を見張り、そして悲しそうな、苦しそうな顔をして僕の側へ歩いて来た。
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