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天使な君。
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「待ちなさい」
浩太さんが僕の方へ歩いて来る。
その背中に、叔父さんの冷たく思い声がのしかかった。
ピタリと歩く事をやめた浩太さんは叔父さんに向き直る。
「勝手に家に入って来るなんて、非常識にも程がある」
「非常識はあんただろ!?」
静かな口調で述べる叔父さんの言葉に半ば被せて浩太さんは声を荒げた。
あまりの迫力に僕の体もビクッと震えた。
その際に手錠が鳴り、浩太さんはハッと我に返ったように落ち着いた声で話し続けた。
「あんた、自分が何してるのか分かってんのか?」
「分かっているよ」
「……っ!」
浩太さんにとって予想外だった回答と、叔父さんの落ち着いた声は浩太さんに何を思わせたのか、僕に向き直ると叔父さんは変わらない調子で背中に声を投げかけた。
「…梓を、連れて行くのか?」
「好きな子のこんな姿見せられて大人しく帰れるわけないだろ」
油断すると声を荒げそうになるのか、必死に力を込めて抑えながら、しかし怒りを露わにして浩太さんは答えた。
好きな子……。
好き、な…子…?
僕……?
その言葉を聞くと、叔父さんは表情を変えないまま、しかし力無く、まるで魂を吸い取られてしまったかの様に心ここに在らずと言った様子で短く答えた。
「………そうか」
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