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君への思い。
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家に帰る道すがら、俺らは何も喋らなかった。
ただただ、俺は梓の手を引き、梓は黙々とついて来た。
アパートに着くと、ドアが閉まりきるよりも早く、溜まりに溜まった言葉にならない胸を締め付けられるような気持ちに身を任せ、梓を強く抱きしめた。
梓の腕が背中に回る。
胸に顔をうずめながら。
強く、強く…。
俺たちは抱きしめ合った。
「おかえり…梓…」
「…た、ただい、ま…です…」
やっと顔を上げてくれた梓は、照れ臭そうな、恥ずかしそうな顔をしながらぎこちなくはにかんだ笑顔を見せた。
たまらず、梓の頬に手を滑らせ、唇が近づく。
あと少しというところで、梓の口が動いた…。
「浩太さん…」
「…ん?」
あと数ミリの距離で一旦止まると、一体どうしたのだろうと、少し顔を離し相手の顔を見た。
「浩太さん…好きな、子…さっき…」
「え…?」
このタイミングで、しかも一体何を言っているのか分からない…。
俺、好きな子…さっき…?
………あ。
--好きな子のこんな姿見せられて大人しく帰れるわけないだろ。
さっきの……。
「僕は、浩太さんの…好きな子…?」
ど、どうしよう…。
さっきは勢いで言ってしまったが改めて言おうとするとなかなか口が動かない…。
そんな中、梓の目はどうなの?と言うように俺の視線を捉えて離さない。
俺は、覚悟を決めて頷いた。
「…そうだよ」
心臓がバクバクと暴れだす。
すると梓は頬を染め、「僕も…です…」と、照れるように、けれど満面な笑みで述べた。
見たこともない可愛い笑顔。
高鳴る胸は、自制の枷を外して、ただ、ただ、俺と梓は互いを確かめ合うように深く、深く唇を重ねた。
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