アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
カスミソウ。
-
すっかり季節も巡り、厚いコートを身に纏わなければ耐えきれなくなった頃。
僕は、浩太さんに勉強を教えてもらっていた。
2ヶ月前くらいから学校に通いだした僕は、大学進学と言う難関にぶち当たっていたのだ。
できたら、浩太さんの通っている学校がいい。
そんな思いで、ぽろっと前に聞いたコウタさんの通っている大学の名前をクラスの先生に述べると、「えっ」と目をまん丸にしながら聞き返されてしまった。
どうやら、浩太さんの通う大学は結構頭が良いらしく、僕の成績じゃ無理だということらしい。
推薦やAOと言った成績と面接、行きたい動機ややる気を見る様な入試はもう期限切れらしく、今まで学校に行っていなかった僕には一般入試しか残っていなかった。
だから、たまたま土曜の今日はバイトも無く、午後の抗議もなかったからと何時もよりも早く帰ってきてくれたので、一緒にお昼を食べた後、勉強を見てもらっていたのだ。
僕は先生が個人に作ってくれている問題集とにらめっこをしながら必死に頭を悩ませていた。
浩太さんはというと、そんな僕の様子にくすっと笑って席を立ち、台所の方に姿を消してしまった。
…こんなんじゃ、一緒の大学に入れない…。
浩太さん…呆れちゃったのかな…?
そんなことを考えながら視線をしたに落とす。
すると、コトッという音と共に視界の端に湯気の立つマグカップが置かれた。
見上げると、浩太さんは向かいに腰を下ろし、ニコッと笑いながら「休憩」と僕の方に置かれたマグカップを指差した。
見ると、中にはあったかそうなココアが淹れられていた。
「あ、ありがとう…ござ、います…」
呆れて席を立ったのではないと知ると、自然と安堵の笑みが零れる。
心なしか浩太さんの顔が赤くなったような気がしたけど、そんなことにいちいち気づく訳も無く、僕は火傷しないように両手でマグカップを持つと、フーッフーッと息を吹きかけてゆっくりとココアを啜った。
「おいし…」
僕が呟くと、浩太さんは「良かった」と、笑った。
その笑顔にキュンと胸が高鳴る。
僕は、照れ臭くて、胸のドキドキが聞こえてしまいそうで、咄嗟に視線を逸らした。
絶対、勉強頑張って浩太さんと同じ大学に入る…っ!
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
50 / 87